崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

生肉の食文化

2011年05月07日 05時10分41秒 | エッセイ
 生の食材を煮たり蒸したり焼くのが料理である。生rawと料理cookの対比は人間文化の基礎であることはレヴィストロ-スが論じた。生の食材を文化的に表現したものが料理であるが、料理せず生の物として料理化したのが刺身である。日本では魚の生のものを食べる文化がある。ある意味では生の魚の食べ方の多様な方法のひとつであり、それには衛生的な危険性を十分自信があるという日本文化の特徴でもある。
 日本の刺身文化と対照的なものが朝鮮半島の生肉食文化のユッケである。日本では朝鮮半島の焼肉文化が定着し、肉膾:육회などもその一つである。昔韓国では家庭料理でもあった。私の母は赤い牛肉をよく食べていたが子供の私には食べさせてくれなかった。私は生卵なども食べない。今日本では食中毒が発生して4人が死亡した。私は1977年日本留学を終えて韓国へ帰国して間もないうちに吐血して危篤さえ感じた状況であった。経験豊かな薬局の薬剤師から肺ジストマかも知れないから、病院で検査するよう勧められた。まさに肺ジストマと診断され、ビチノルという薬で治療できたことがある。私の知人は韓国に行って生牡蠣で食中毒、それが誘引となって亡くなった。しかし生の物を食べる食文化を持つ日本でも生肉文化が完全に定着するのは難しい。外食文化が一般化しても自分の食生活は自分で管理すべきであろう。ベトナムに団体調査に行って私を除いて全員食中毒に罹ったことがあった。それは私は生の物を口にしなかったからである。味は子供や動物でも知っている。味をより清潔に文化化すべきであろう。