崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

地下生活からの生還

2010年10月14日 05時17分49秒 | エッセイ
救出作業の場面をCNNから目を離せなかった。救出された人は様子が私が想像した鉱夫のイメージとはかけ離れていた。あちこちに石炭などが付いて黒く汚れた人が出てくると思っていたけれども石炭鉱山ではなかったようである。ある人は地下から灰色の鉱石を持って出た。このチリ北部のサンホセ鉱山は金銀銅などの鉱山として有名であることが分かった。金脈を探して、試練にあい、救出された物語りのような事件である。最後には地獄から地上へ、そして天上へ飛ぶような素晴らしい事件であった。
 私は石炭の炭鉱地を調査したことがある。ロシア全体で3番目に大きいサハリンのブイコ炭鉱をはじめ、北海道の夕張など、宇部炭鉱、筑豊炭鉱、熊本三井炭鉱、長崎軍艦島の炭鉱など数多く見て回った。炭鉱地では犠牲者の話が多い。長崎、宇部では日本人、朝鮮人が多く犠牲になっている。日本では多くの炭鉱は閉鉱されたが、いまだにチリには残っているかと思ったら金鉱、銀鉱であるという。そのことを知って、子供の時読んだ宝物を探しに歩いた漫画を思い出す。歓声を叫び、固く抱き合っているのをみて、命こそ金銀より高いものであることを認識する。ただ面白い喜劇のように見てはいけないと思う。