崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

風水と景色

2010年10月12日 05時44分14秒 | エッセイ
 韓国の韓国国際大学校の装飾建築学科の辛相和教授が大学訪問のついでにわが家を訪問した。初めて下関にきてわがマンションから門司港や関門橋を眺めて一喝、「風水が良い」。目の前の関門景色への賛辞を期待したがとても意外なことであった。彼は神戸大学大学院で建築学を専攻して博士号を取られた方であり、家の風水に関心が高いと言っておられた。つまりわが家は後ろに火の山を背山にして海を前水としていて風水的に「明堂」に当たると言うのだ。
 私は村山智順が書いて朝鮮総督府が発行した『朝鮮の風水』を1990年に韓国語で翻訳して一時ベストセーラになったことがあり、今改正版を準備中である。彼が私の名前を知るようになったのもその本であるという。景色も良いし、風水的にも良いといわれるのは悪くない。その話を民族学博物館の研究会で披露してみた。研究書である本が民間では実用書として受け入れられた事例として興味を起こした。『朝鮮の風水』は村山の調査研究というより全基応という当時有名な風水師の資料を基に整理したものである。朝鮮の実用書が調査資料になったのでそれが韓国人に受け入れられたのであろう。
 私は研究と実生活は別々な態度をとっているが、この本で両方が合致している。今キリスト教に関して距離をおきながら執筆中である。それでも信仰と研究が合致するかもしれない。ただ出発点は客観的でなければならない。私の研究はあくまでも風水師としての研究にならないように、クリスチャンとしての研究にはならないように注意すべきであろう。