永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

水彩画。水彩美王国世界の入口に。

2013-03-09 19:07:41 | アート・文化
二年ぶりになるでしょうか、下関美術館に行きました。『日本の水彩画』展を見るためです。
途中、長府海岸沿いから眺望する関門海峡は大陸からの黄砂で靄っていました。たぶん大気汚染物質も混ざっていたと思います。
下関美術館は空いていました。美術フアンにとってはうれしいことです。じっくり鑑賞できるからです。
『日本の水彩画』の展示日がそろそろ終わりに近くになってきたので、あわてて行った次第です。
幕末から昭和戦前期までの水彩画を体系的に見ることができました。いわゆる近代絵画における一端にあった水彩画の表現世界をみる展覧会です。見方によればマイナーな世界にも取れますが、描かれている世界は、水彩画のジャンルがが近代絵画の中でそんなに認知を得ていなかった時代の表現世界ですから、この展覧会企画の主催者の目の付けどころはgoodでした。この展覧会が予告の時から気になっていていたので、やっと見ることができてgoodでした。


春の囁き。

2013-03-06 14:09:44 | 日記・エッセイ・コラム
今日の朝六時すぎくらいにウグイスの澄みきった鳴き声が庭から響いてきました。ことし春一番の初飛来です。例年より早いみたいです。
写真に記録しようと庭に出てみたのですが、ウグイスは周囲の音には敏感なのか、ぴたっと鳴きやみます。この戯れが、また良いものであります。


引出しの奥に眠っていたグラフィテイー。

2013-03-03 15:33:25 | 日記・エッセイ・コラム
確かにあったはずの時系列から抜け落ちていたり、体験していないはずのことが頭の中に画像と記憶されていたりと、こういうことは特に子どもの時代に多いと思います。それらが重なって幾つもの記憶が混濁になってリアルに蘇ってきます。
24年前にシアトルの下町にあった雑貨屋(古いおもちゃや古本などなどを置いてあるいわばカジュアルな骨董屋)にあった、1970年初頭に発行されたコミックマンガのバットマンとローリングストンズ誌です。バットマンの表紙の構成と色使いがポップな感じ、ビートルズの写真をボストンバッグにコラージュした巧みなデザインのロ-リングスト-ン誌、これもポップなイメージだったので買いました。
町を案内してくれたシアトルに住む日系の人が「こんな子どもが買うような物、どこがいいの?」と不思議がっていました。ふたつの雑誌はぼくにしたらアートな作品と同系列のものです。古い時代の雑誌ですが感覚で受けとめてなんでも新鮮に見えました。


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バットマン/:ナショナル・ペリオディカル出版社発行


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ローリングストーン誌1974年10月号






時代はポップだったけれど、今から見ると、なぜせつなくなるんだろう。

2013-03-01 10:37:06 | 日記・エッセイ・コラム
以前にこのブログで1970年代のデザイン本のことを書きましたが、今回はイラスト本のことを書いてみたいと思います。
所蔵するアート関係の本から、イギリスのイラストレーター、アラン・オルドリッジさん(アランさんはたしか現在70歳くらいになられると思います。60年後半から70年にかけて、ビートルズのレコードジャケットのイラストを描かれた方です。)が編集したもので、1969年発行された全世界のイラストレーターが描いた『ビートルズ・イラストレーテッド・ライリックス2』が出てきました。ぼくはライリックス1はお金が足りなく買いそびれて、このライリックス2しか持っていません。ほくが高校3年の時にアルバイトで溜たお金1,800円で買ったものです。当時の僕にはたいへん高価なものでした。
なぜ、この本を買ったかというと、やはり当時、ビートルズにいかれ狂っていたのと、学生だったぼくはアート系の道に進もうと決めていて、イラストの描けるデザイナーの職業につきたくて、(当時は地方都市では、まだイラストレーターという職業名は社会では馴染みはありませんでした。)外国のイラストレーターで、ロンドンのアラン・オルドリッジさん、ニューヨークのプッシュピンスタジオのミルトン・グレイザーさん、シーモア・クワストさんたちのポップな感覚のイラストが好きで、よく真似して描いていました。後にシーモア・クワストさんのNYのスタジオには1990年に訪れ、シーモアさんのアトリエでイラストやポスターを見せていただきました。今から思うと、よくアポを了解していただき会ってもらったものです。お土産にシ-モアさんがつくられたポスターを数点いただきました。
『ビートルズ・イラストレーテッド・ライリックス2』の表紙はアランさんのイラストで、今見てもポップで当時の時代感覚が伝わってきます。たぶん、イラストの技術はエアースプレーブラシによるものと思われます。製版印刷は今みたいにコンピューターで処理されたものではなく、インキの乗り加減もこってりしている感じと、アナログで郷愁ただよう印刷あがりになっています。この感じが今の時代から見ると、なぜかせつなく見えてくるのはなぜでしょうか。




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『ビートルズ・イラストレーテッド・ライリックス2』 
アラン・オルドリッジ編集&デザイン・英語発行/BPC出版(ロンドン)、日本語発行/誠文堂新光社・昭和46年発行