永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

ガロ。

2011-04-26 19:26:49 | 日記・エッセイ・コラム
何十年とずうっと目の前から消えていた本が出てきました。本といってもマンガ本ですが、ぼくにとっては貴重な本になります。本棚の奥から、うむっ、見覚えのある表紙束が、表紙につながって金色のベタにくっきり墨色で『ガロ』のタイトルロゴです。ロゴは温かみのあるヒューマニズムあふれるデザインです。絵は白土三平さんの肉筆によるカムイ伝です。油彩かポスターカラーで描かれています。ブログに本の写真を載せたいのですが、作者絵著作権のことがあるので、束タイトル部分のみを。

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伝説の青林堂の発行です。編集長はこれまた伝説の長井勝一さんです。朝ドラ『ゲゲゲの女房』でも出てきたインテリジェンスな編集長です。
「わあっ!」。思わず叫んでしまいました。1970年2月号・ガロです。白土三平・カムイ伝58回、滝田ゆう、つげ義春、つげ忠男、林静一さんらの作品が掲載されています。林静一さんの作品『赤色エレジー』はタイトルからして、当時の時代が感じられます。この四畳半アパート感覚がフォークミュジックでも唄われました。
70年の発行ですから、大阪万博が開催された年の本です。事件といっていいのか、最後の文士という名が似合う三島由紀夫さんが自害されたのもこの年です。
他の号は人に回して戻ってこなかったり、人にあげたりでぼくのところにはこれくらいしか残っていません。ほかに『日本文芸社発行・カスタムコミック』も本棚の奥から出てきました。いまのアニメ時代とは違い、このころがマンガの発酵熟成期だったのではないでしょうか。70年。ガロはあまりにも文学的すぎます。ガロは漂泊する時代に読者のこころをしっかりわしづかみ満たしてくれる漂泊するマンガでもありました。