永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

海峡の光りと風。そして倉庫のある風景。門司港。

2011-02-12 11:42:31 | アート・文化
門司港の東港町、浜町には倉庫街があります。倉庫群です。草野倉庫、三井倉庫、上組などの倉庫が歴史的な風貌を今に残像としてあります。先日倉庫街を歩いていますと、去年まであったはずの倉庫が取り壊されていました。いつもあった場所の見慣れた光景がとつぜん消えてしまった感じで、メモリーがぽっかりなくなったような気がしました。倉庫と倉庫の間から見える関門海峡。これがぼくの関門海峡であり門司港なのです。岸壁に連なる倉庫群の向こうに、午後三時頃になると海面いっぱいに降り注ぐ陽の光りでぜんたいがハレーションをおこしたようになるのが関門の風物でもあるのです。
東港には30年前くらいまで沖仲仕さん野姿を見ることができました。海岸に接岸していた船で荷揚げ作業をされていました。仲仕さんには女性の人も多かったです。界隈には港湾作業をする人たちが利用する食堂があちこちにあったのですが、今ではすっかり姿を消しています。また、港湾が18年前頃からはじまった観光事業としての門司港レトロ開発により、あたりの街のデザインが変わってしまいました。時代の流れというものでしょうか。でも海峡の流れと光りと風に西から東へ、東から西へと押し流され航行する船のある光景は少しも変わっていません。


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門司港東港の倉庫街。〈C〉永野宏三・ひろみプロ