永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

町の…から、…まで。

2010-03-08 14:21:18 | 日記・エッセイ・コラム
電車を降りて門司駅から自宅へ帰る。天気が良いのでぼくの足なら歩いて10分ほどの道程を楽しむ。商店街から高田町、大里原町と抜けて、門司体育館の裏通りから図書館の方に出ると、図書館の横にあった昔ながらの古い家が取り壊されていた。見慣れた家がと、びっくりしてしまった。伝統的な日本家屋でりっぱな門構えにどっしりとした屋根と玄関の造作は、たぶん昭和中期か以前に建てられたものだと思われる。玄関灯は丸いかたちの乳白色のもので、昭和の時代だったらどこにでもあった軒先き下からにゅっと突き出た照明灯が良かった。家の前を通る時には、威風堂々としたこの家にはどんな人が住んでいらっしるのだろうと勝手に想像して、家の手入れがしっかりと行き届き、通りから塀越しに見える立派な日本庭園と庭の木々も楽しませてもらっていた。大里地区で、貴重な昭和のデジャブな体験ができるこの家が、どんな事情と理由でかはわからないけれど、起重機の音ともに無くなっていくのに、これも時代の所為かはわからないけれど、町のかたちが変わっていくのは確かなようだ。その解体中の家の回りにはいくつものマンションの固いコンクリートの風貌が空を遮っていた。