2~3年前に、図書館で見かけた「ダイ・ステッチワーク」という本。
“ダイ”というからには、“染め”が関係してるんだろうなぁ...とは思っていたのですが、
それにしても、この表紙の作品↓は図案が単純というか素朴というか、
カットワークでは、ハーダンガーやヒーダボーの方に馴染みのある私にとっては、
この“ダイ・ステッチワーク”のルーツは何なんだろう?と思っていました。
しかし、この本を見ればすぐに謎は解明します。
これはカットワークの手法ではなく、
背景(影)になる色の部分を染めておいて、境をチェーンステッチで刺し、
いわば、カットワーク風の効果を出すという手法でした。
本来のカットワークなら、ステッチでほつれないようにしてから刺繍布をカットし、
裏から別布を当てて色を出し、仕上げるところですが、
これは、1枚の布の上ですべてをやってしまうということです。
おぉ、これはなんと!
染めるといっても、手軽な染色マーカーで塗るだけみたいだし、
それでこんなに、カットワークらしく見えるもの?
この本を初めて手に取ったときは、
なんとユニークな、そしてなんと割り切った手法だろうと、
正直、半ば感心、半ば放心していたのです。
でも、何だか気になる。
なぜだか、懐かしい気もするんだよねぇ。
何だろう、この感覚.....。
もしかしてと思い、うちの本棚を端から眺めていくと、
母から引き継いだ古い古い手芸本の一角に、こんな本がありました。
「 小倉ゆき子のニュー刺繍 」
題名こそ違いますが、その下のサブタイトルにあるように、
まさしくこれはダイ・ステッチワークの本でして、
確かに、母がこれを持っていたことを思い出しました。
発行は昭和62年になっています。
ということは、今から24年も前には、
小倉ゆき子さんは、この手法を世に出していたのですね。
当時、母が実際に何か作ったか、私の記憶にはないのですが、
( もしかしたら手作りのエプロンに、この刺繍が入っていたかもしれません。)
それでなくても、この一種“お母さん”っぽい雰囲気は、
私に懐かしさを与えて当たり前のものだったのでした。
今では、2010年8月の“すてきにハンドメイド”にも登場し、
教科書は色々と揃います。
.....と、つらつらと思い出話を書いてきてナンなのですが、
実は、これをやる直接のきっかけになったのは、
サインペンのような染色マーカーに興味を持ったこと。
200円前後で売られていて、細字と太字のツインマーカーになっています。
色の種類も豊富。そして本当に塗るだけで染められる。( アイロンで定着!)
私は、某手芸店オリジナル製品の、グレー、茶、カーキを買いました。
そして、本題の作品の方です。
チェーンステッチなんて、どれくらい振りだろう?
いや、実際には刺した記憶なんてほぼ無いに等しいから、
本格的に刺したのは、これが初めてかもしれません。
お恥ずかしき針目.....
でも、誰にでも何にでも初めてはあるもので、
ステッチの拙さは気にしません。
だって、ほら、へたっぴなチェーンステッチでも、
ちゃんとカットワーク効果が出ているんですもの。
( 図案は「ニュー刺繍」から )
本当に簡単に出来てしまうのに、仕上がりはとても楽しい!
日常的に使うものに仕立てるなら、
カットワークよりずっと丈夫で実用的だと思いますし、
二重の意味で合理的ですよね。
これならたくさん、気軽にプレゼントできます。
あと、既製品にも全く問題なく刺せますね。
本の指示では麻布が多いですが、私は綿を使いました。
袋に仕立てるときには、刺繍保護の意味で薄い綿をもう1枚重ねています。
布と糸、染料の色合わせで色んな雰囲気が出そうですし、
今回のように、小さな図案で小さな巾着だとハギレの上手な利用法にもなりますし、
カーテンや布団カバー、クッションやテーブルクロスなどの大物インテリアや、
ブラウスやエプロン、ナイティのワンポイントにも向いているので、
とてつもなく応用範囲が広いですね。
こういう、“正しい”雰囲気、好きです。
まだ試作のような段階ですが、早速、母にプレゼント。
( そのために、母のイニシャルにしました。)
古くさい...?
おばさんくさい...?
いえいえ、とんでもないことです。
素晴らしいものを手に入れました。
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マーカー染色がどの程度持つのかが心配ですが。
アイデアとしては、好いですね。
確かに、漂白したら染料がどうなるかな...?と私も思いますが、
まあ、そのときはそのときですね。(笑)