木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください!!

「中小企業のデザイン戦略」あとがき

2009年10月27日 | 拙書のご紹介
<我々の新書が本田宗一郎さんの隣に。。。>


◆PHPビジネス新書「中小企業のデザイン戦略」あとがき
【書籍出版】


 こんにちは!
 デザインコンサルタントの木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。

 木全の自己紹介

 ★デザインセミナー講師も承ります。「講演.com」


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PHPビジネス新書「中小企業のデザイン戦略」発売!

 「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(ソフトバンク新書)「売れる商品デザインの法則」(日本能率協会)から2年、やっと3冊目の新書「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書) が10月17日に出版されました!

 新書、特にビジネス書系の新書を購入される方は、「題名」と「目次」と「まえがき」と「あとがき」を読んで、購入を決める場合が多いようです。

 いままで、「題名」と「目次」と「まえがき」はお知らせしてきましたので、今回は「あとがき」を紹介しようと思います。

 このあとがきは、共同執筆者の井上の担当でした。


「中小企業のデザイン戦略」あとがき(井上)

 この本の中で何度も、今こそ商品開発や企業経営にデザイン的発想を取り入れないと、日本の中小企業が、世界との競争の中で勝ち残っていけないだろうと書いてきました。

 中小企業の方を脅かすつもりは毛頭ありませんが、二〇〇八年夏から中国現地企業のデザイン指導のため広東省に毎月訪問するようになり、その思いをますます強くしています。


 ほんの一例を紹介します。

 二〇〇九年一月に中国のある家電メーカーから日本市場向け商品開発に関する相談がありました。

 それまで欧米向け商品のOEM生産していたそのメーカーは欧米市場の冷え込みに対応するため、新たに日本市場向け商品開発を日本のデザイナーに発注したい、という相談でした。

 通訳を通じてそのメーカーの企画担当者と話をしていると、彼が全く日本市場を調査していないことを知りました。

 スケッチがほしいと言われればスケッチは描くが、日本市場を知らない状態で企画を立てても売れる商品は開発できないと説明し、次回までに簡単な調査資料を用意する旨、約束して別れました。


 しかし、考えてみればOEMメーカーの企画担当者が市場調査などするはずがありません。彼らの仕事は、顧客から与えられた図面と仕様書をもとに見積書を作ることだからです。これは、大半の日本の中小企業と同じです。

 しかし、その彼らがこれからは下請のOEM生産だけではなく、自らが商品企画をして新たな市場に売り込まなければ企業が存続しないことに気がつき、動き出しているのです。

 翌二月に訪中した際、企画担当者はいかにも頭の切れそうな上司を伴って打合せにきました。

 先方が興味を示している家電製品について、通訳を介して日本市場の概要を説明していると、中国人の上司が突然、「良くわかった。あなたの意見は正しい。我々は日本の市場状況を知らない。是非日本向け商品開発を手伝ってほしい。」と流暢な日本語で話しかけてきました。

 突然の変貌に面食らいながらも彼の話を聞くと、一月の打合せの後に日本の大手家電メーカーから来たOEM生産の商品仕様は、まさにその場で説明している通りのものだったのだそうです。


 上司はこちらを値踏みしていたのでしょう。それこそ悪徳デザイナーかどうか、日本語がわからない振りをして様子を見ていたのです。

 そして、こちらが正しい情報を伝え、信頼できることが確認できたら、その場で迅速な決断を下し、すかさず日本語で商品デザイン開発を依頼してきたのです。ドラマのワンシーンのようですが、これが今の中国の現状です。

 その中国メーカーが思惑通り日本市場に参入できるかどうかはわかりません。家電製品は日本に溢れています。流通の参入障壁も決して低くはありません。エンドユーザーにとっても流通にとっても魅力的な商品開発をするには、試行錯誤が伴うでしょう。

 しかし、優秀な人材を抱え、新たな市場に参入するのだという本気と覚悟を持って、付き合うデザイナーを値踏みし、迅速に決断する力を持った中国の中小企業はまだ他にもたくさんあるはずです。

 大企業だけではなく中小企業も、そのような世界と競争しなければならないのが、現在のものづくりの現状です。

 中国韓国に限らず、BRICsもVISTAも、戦後日本の高度成長期の勢いで、語学に限らずなんでも貪欲に取り入れて、成長しようとしています。

 でも、日本人のデザインセンスが世界最高水準にあることを思い出してください。

 日本に生まれ育った方なら誰でも、世界六七億の人口の中の上位数億人レベルのデザインセンスを持っています。このデザインセンスはBRICsもVISTAも数年で追いつくというわけにはいきません。
 
 日本の中小企業がデザイン的発想を取り入れて工業デザイナーと付き合うのは、まさに今しかないと筆者は考えています。五年後、一〇年後では遅すぎます。


 中小企業のデザイン導入の決定版だと自負しています。

 是非お読みください!


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 「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書) 発売中



「中小企業のデザイン戦略」目次

はじめに 木全賢

第一章 アップルになろう
 「日常のデザイン」と「デザイン的発想」とは?
 アップルになろう
 21世紀こそ「デザイン的発想」の時代
 デザイナーの役割は人と人を結びつけること
 相手の喜びこそ「デザイン的発想」の根幹
 大企業のデザイン戦略
 「我社こそアップルになれる」

第二章 工業デザイナーの実態
 いろいろなデザイナー
 デザイナーと付き合うことが差別化要因になる
 工業デザイナーの情報がない理由
 工業デザイナーは縁の下の力持ち
 地方のデザイン業界の現状
 郷土意識が地方を救う
 フリーランス工業デザイナーの3つのタイプ
 フリーランスデザイナーと付き合う利点
 フリーランスデザイナーの具体例 筆者の自己紹介

第三章 デザイナーと付き合う前に
 まずは予算ありき
 工業デザインに関る法律
 デザイン契約に関する知識
 悪徳デザイナーの見分け方
 工業デザイナーの探し方
 ホームページを利用して探す
 行政サービスを利用して探す
 産学協同授業でデザイン業務を体感する
 コミュニケーションこそ未来へのカギ

第四章 工業デザイナーとの付き合い方
 工業デザイン業務の全体像
 デザイン費用について
 ロイヤリティ契約とは?
 ロイヤリティ契約の金額設定
 デザイン会議の運営
 デザイン会議の目的はコンセプトの確立
 コンセプトの10項目
 コンセプトの具体例
 スケッチとは?
 アイデアスケッチの評価方法
 レンダリングスケッチの評価方法
 試作品(モックアップ)の評価と効果
 評価するときの注意点
 中小企業とデザイナーの信頼というネットワーク

第五章 中小企業のデザイン導入事例
 現実を知ってもらうためには実例がふさわしい
 事例1)株式会社三信精機
 事例2)吉永機械株式会社
 事例3)株式会社島田電機製作所
 事例4)株式会社林製作所
 事例5)株式会社三輪サイエンス
 事例6)株式会社オクミネ

第六章 とにかく付き合ってみよう
 二人三脚で一緒に走る
 実行に先立つ計画
 デザイナーは主治医
 とにかくまず付き合ってみよう

おわりに 井上和世


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