病院や医院の診療科には内科、外科、産婦人科をはじめとして、様々な分野がありますが、医学部を卒業した医師は自由にどの科でも専攻することができます。A大学の医学部を卒業したから外科医になれないとか、B大学の医学部を出たから皮膚科医にしかなれないとか、そのようなことはありません。以前は医学部を卒業した直後に自分の専攻を決めていました。多くは大学病院の自分の選んだ診療科に就職することが多く、私も母校の皮膚科学講座に就職しました。
2年前よりこのような医師の就職状況に変化が起こりました。厚生労働省の定めた臨床研修制度により、卒後2年間は必ず内科、外科、救急医学などを学び、どの科の医師でも必要な技術や知識を身につけることになりました。医学の進歩に伴い、蓄積された知識、技術は膨大なものになっています。おのずと医学の分野も細分化されざるを得ず、医師は自分の専門分野以外の診療に自信を持って対応できなくなってきています。医師が自分の専門科以外が分からない”専門バカ”になってしまい、その弊害を解決する為の手段として始まったが、この研修制度です。
私も皮膚病以外は分からない専門バカですので、この制度の趣旨には大いに賛成をします。しかし、今のままで良いのかどうかには疑問を持っています。現在の臨床研修制度では循環器内科や消化器外科などを3ヶ月から半年くらいで少しずつ学ぶようになっています。すなわち、全ての臓器をそれぞれの専門分野の医師から学べば全身が診察できる医師になれるとの考えに基づいているのです。
しかし、長くても半年くらいの短期間で各臓器の診察が責任もってできるとは思えません。残念ながら不十分な知識しか身に付かないと思います。医師にとって最も必要なものは判断力と技術です。今まで学んだ経験、知識に基づいてどんな薬をどれだけ投与するのか決定したり、研鑽をつんで身につけた技術を用いて手術や検査を行ったりできることが重要です。そしてそのような医療行為を自分の責任で実行できるような医師を育てるのが研修であると思います。どのように研修カリキュラムを工夫してもすべての臓器でこのようなことできるような医師を作ることは2年間ではダメです。いや、何十年費やしても不可能だと思います。もし、そうだとしたら現在行われている臨床研修制度は意味があるのだろうか?と思ってしまいます。
次回はどのような研修制度が良いのか、私の考えを述べようと思います。
2年前よりこのような医師の就職状況に変化が起こりました。厚生労働省の定めた臨床研修制度により、卒後2年間は必ず内科、外科、救急医学などを学び、どの科の医師でも必要な技術や知識を身につけることになりました。医学の進歩に伴い、蓄積された知識、技術は膨大なものになっています。おのずと医学の分野も細分化されざるを得ず、医師は自分の専門分野以外の診療に自信を持って対応できなくなってきています。医師が自分の専門科以外が分からない”専門バカ”になってしまい、その弊害を解決する為の手段として始まったが、この研修制度です。
私も皮膚病以外は分からない専門バカですので、この制度の趣旨には大いに賛成をします。しかし、今のままで良いのかどうかには疑問を持っています。現在の臨床研修制度では循環器内科や消化器外科などを3ヶ月から半年くらいで少しずつ学ぶようになっています。すなわち、全ての臓器をそれぞれの専門分野の医師から学べば全身が診察できる医師になれるとの考えに基づいているのです。
しかし、長くても半年くらいの短期間で各臓器の診察が責任もってできるとは思えません。残念ながら不十分な知識しか身に付かないと思います。医師にとって最も必要なものは判断力と技術です。今まで学んだ経験、知識に基づいてどんな薬をどれだけ投与するのか決定したり、研鑽をつんで身につけた技術を用いて手術や検査を行ったりできることが重要です。そしてそのような医療行為を自分の責任で実行できるような医師を育てるのが研修であると思います。どのように研修カリキュラムを工夫してもすべての臓器でこのようなことできるような医師を作ることは2年間ではダメです。いや、何十年費やしても不可能だと思います。もし、そうだとしたら現在行われている臨床研修制度は意味があるのだろうか?と思ってしまいます。
次回はどのような研修制度が良いのか、私の考えを述べようと思います。