クリエイティブビジネス論!~焼け跡に光を灯そう~

元コピーライター・境 治が、焼け跡になりつつあるこの国のクリエイティブ業界で、新たな理念を模索するブログなのだ!

映像コンテンツをソーシャル化が浮上させる~VODに未来はあるのか・その6~

2010-04-28 01:53:47 | VODに未来はあるのか
前々回の記事(=VODに未来はあるのか・その5)で、映像コンテンツのアンビエント化が進んでるね、と書いた。

そして前回の記事(=広告の新たな地平線・その8)ではメディアと個人の間にソーシャル空間が出現しはじめたね、と書いた。

で、今日はまたVODについて書くのだけど、ちゃんと前回の記事ともつながっているのだよ。2つのテーマを別々に書きながら関連性も深いという、なかなか高度なハイパーテキストな感じで進んどるよ。

映像コンテンツがどんどんあふれだし、どれ見ていいかわからなくなる。そんな時、ソーシャル化がはじまった。そうすると、何がどうなるのか?

どれ見ていいかわからなかったのが、ソーシャル空間が教えてくれるようになるわけだ。前々回と前回を読み進めれば、論理的に当然の帰結。そしてそれは、映像コンテンツ市場を、生き生きと活性化していくのだ。

そもそもテレビ番組をぼくたちはどう視聴しているか。番組表が大まかに頭に入っているんだ。月曜9時には若い女子向けのイケてる役者が出るドラマをやっている。それはフジテレビ系列だ。日曜日の夜8時にはNHKで大河ドラマをやっていて、最近は民放連ドラより面白いよね、見よう。お父さんが帰宅したら11時だ、おっとニュース見ないとな。まあだいたいそんな感じ、じゃない?

こういう視聴習慣を国民に植え付けてきたテレビってすごいと思う。

でもいまや、テレビはひところまでの輝きを失った。誰のせいでもなく、時代のせいだ。うちの子供たちをみていると顕著だ。ほんとうにどんどん見なくなっている。極め付けは、テレビとともに育ったわが家のパパ(=ぼくのこと)は、帰宅したらすぐPCに張り付いてつぶやきまくってる。帰ったら意味なくテレビをつけてたパパだったのに。

一方で、実はすでに映像コンテンツのアンビエント化ははじまっている。ぼくのテレビはBSデジタルも受信するし、CATVでは何十チャンネルもいつでも見れる。VODサービスにも加入したので、いろんな映画やドラマが有料だけど視聴可能。

なのに地上波に比べると、それらを見る機会は極端に少ない。なぜならば、いま自分にとって面白い番組をどこでやっているかわからないからだ。選択肢が多すぎて、かえってわからないのだ。

ソーシャル空間は、こうした映像コンテンツについても、そのうちさかんにぼくに教えてくれるだろう。BSでiPadの特集番組あるんだって!というつぶやきを見たら、さっそく見るぞ!となる。『アリス・イン・ワンダーランド』をティム・バートンが語る?見る見る!とかね。iPhoneのおもしろアプリ大集合!もうすぐはじまります!えー?そりゃ見なきゃ!なんて絶対なるでしょ?

CATVの映画チャンネル、鈴木清順大特集!清順は日本のけれん味をプログラムピクチャーにもちこんで・・・へー、そうなんだ、清順ってよく知らないけど見たくなってきた。なんてこともあるかも。東欧のアートアニメ大特集。アートアニメってみんな小難しいと思ってるだろうけど、実はエンタテイメント性高いんだよ。へえ!そうなの!見ようかな?なんて思っちゃったりするかも。

こういう状況に、そのうちなる。自然にそうなるだろう、ってのもあるんだけど、そうなっていく前提でぼくたちにできることはなんだろう。考えなきゃいけないことはなんだろう。

あるいは、いやーぼくはテレビ番組とか関係ないですからね、という時代ではないんじゃないか。テレビと仕事上で全然接点がないとしても、関係なくないんじゃないか。だって、あなたがTwitterやってるのなら、あなたのフォロワーにテレビ関係の人、いるかもしれないんだもん。そしてあなたのフォロワーだってことは、あなたと関心が近い可能性すごく高いんだもん。実際、ぼくがフォローしあってる人の中に、テレビ関係の人、いるんだ。そして彼らがどんなことつぶやいてるか、知ってるんだ。もちろん仕事でリアルで知ってる人もいっぱいいるけど、ひょっとしたらTwitter上の人たちの方が面白いことできるのかもしれない。

そういう時代なんだろうと、ぼくは思うよ。そんな風に自由に考えていい、時代が来ているんだと思うよ。ぼくたちは、もう誰とどうつながって、何を考えて何をしてもいいんだ。もともとそうだったんだけど、ぼくたちにはそういう自由があることを、あらためて発見している。そういう時代だ。

あれ、話がそれちゃったけど、ソーシャル空間が映像コンテンツを浮上させるの巻、そんな感じでおしまい。そいでもって次回はまた<広告の新たな地平線>にテーマを戻すのである。乞うご期待!

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