クリエイティブビジネス論!~焼け跡に光を灯そう~

元コピーライター・境 治が、焼け跡になりつつあるこの国のクリエイティブ業界で、新たな理念を模索するブログなのだ!

電子雑誌は広告も電子化する~iPadから見えるコンテンツの未来・その3~

2010-06-02 08:00:00 | iPadから見えるコンテンツの未来
今日は昨日の続きを書くよ。疲れてるから、パパーッとメインの趣旨だけ書いちゃうからね。

昨日、iPadで電子雑誌がPDFなのはイカンのじゃないかと、ちょっと興奮しすぎて書いちゃった。いささか、クリエイター魂的な感情論とも言える内容で少々反省。

でも冷静になってみても、PDFじゃマズイという点がある。

それは、広告ページ。

海外の電子雑誌は広告ページもほんとによくできている。これもHTML5(※)のおかげ(たぶん)なんだろう。
(※前日の記事にも訂正を入れたけど、HTML5ではありませんでした。すんません)

広告ページも、昨日の"図1"のようにタテヨコ両方のレイアウトが用意されている。その上、ページによってはインタラクティブな仕掛けがなされている。わかりやすいところでは、映像が埋め込まれているのだ。タップすると、カッチョいいCMが流れ出す。さすがにこのためにわざわざ作ったものでもないだろうから、既存のCM映像を使っているのだろう。

前々からよく感じてたのだけど、海外企業はテレビCMをテレビ以外でもよく使っている。最近だとNIKEやADIDASがYou Tubeにブランドチャンネルをつくってすんごい映像を流している。それがTwitterでもよく話題にのぼる。

もちろんそこでは15秒だの30秒だのの縛りはない。(そもそも15秒単位なのは日本ぐらいだ)尺を気にせず強烈な映像がつくられているのだ。

電子雑誌で流すCMも尺は気にしなくていい。もちろん、何十分もの映像では意味がないけど、伝えたいことを伝えるにほどよい長さで流すことができる。いままでで言う雑誌広告の"誌面”の中で映像が流れるのはすごく新鮮だ。順番が逆、というか。

その上、電子雑誌の広告ページはWEBサイトにも誘導できる。タップしちゃうと雑誌のアプリが終わっちゃってSafariになっちゃうもんで、戻るにはまた電子雑誌アプリを起動しなきゃならないのだけど、とにかくサイトにすぐ飛べるわけ。もっと詳しい商品説明ページでも、販売店ページでも、ECサイトでも、誘導先に指定できるわけ。

そうするとね、電子雑誌の上では、ブランディング的な映像広告からWEBサイトでの刈り取りまでイッキにできちゃうってことになる。

PDFでも動画は埋め込めるし、サイトへ誘導もできなくもない。でもちょっとツライ。強引な感じ。少し無理がある感じ。海外の電子雑誌はそこがスムーズな印象だった。それ、できて当然、自然とやってみたくなる感じ。

この2年間でマスメディア広告費は急減したわけだけど、雑誌はもっとも減少率が高かったはず。そう思うと、電子化は雑誌広告の新たな価値を企業に提示する格好のチャンスなのではないか。それが、PDFだとアピールに欠けてしまう。新鮮な感じが薄れてしまう。

もったいないんじゃないだろうか。せっかくの新メディア登場のタイミングで、入稿データをそんまんまじゃなく、ちょっと大変だけど"産みの苦しみ”を味わって、みんなでやったことのない領域に踏み込めば、新たな収益性の方向づけができたのかもしれないんだ。

雑誌を商売づくで、事業としてとらえればこそ、PDFでの電子化はもうちょっと悩むべきだったんじゃないか。

iPadでWIREDやTIMEの広告ページをいじるのが、ぼくはホントに楽しかった。面白かった。広告ってまだまだできることあるんじゃないかと思った。そしてWEBへの誘導もできるのだから、最近の”なんでも数値化の流れ"にも口八丁なこと言えるようになるんじゃないか。

それもこれも、PDFだと弱いんだよ。

雑誌広告の新しい価値を打ち出すせっかくの機会だったのに・・・ホントにホントに残念だなあ・・・


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