CEATECという展示会が幕張ではじまった。と同時に、すごい勢いで各社がコンテンツ配信に関して続々発表した。
SHARPのタブレットGALAPAGOSでのコンテンツ配信はTSUTAYAのCCCが合弁会社を設立してとりおこなうそうだ。
サムスンのタブレット端末GALAXY Tabは日本でドコモが通信会社となるそうだ。共同記者発表が行なわれた。
激流のように時代が進む。iPad発表時、腰が引けていた日本のメディアコンテンツ業界だったが、いまは新しい波にのる動きが続々登場だ。面白いなあ。明治維新で攘夷の波が開国に流れを変えた、みたいな。
さてそんな中、「おいらとあんたの世界戦略」も佳境だ。いよいよ核心だ。いちばん大事な部分に、入るよ。
前回、「さらばビッグビジネス」というサブタイトルをつけた。ということは、当然スモールビジネスこんにちは、ということだ。メディアコンテンツ産業は、スモールビジネスになっていくよ、というのが趣旨。そんなのつまらない!と言う人は、この業界を去った方がいい。商社にでも行って、中国以外の国のレアメタル市場でも開拓すればいい。ビッグビジネスだよ!
スモールビジネスは、別に「仕方がないから小さな規模で我慢するしかないね」なんていう、消極的な話ではない。むしろ、いままでよりもクリエイティブの世界がイキイキしてくることかもしれないんだ。
この話は実は、佐々木俊尚さんのセミナーについて書いた内容ともシンクロしている。これまでのマスメディアは大河で、これからのメディアはスワンプだ、小さな沼や池だ、という話とすごく近い。大河には強さとか大きさとかの醍醐味は確かにあった。けれども、その分、ひとりの存在が薄れたり、遠かったり、かすんだりした。あるいは、普通の人なのに大河の船頭に祭り上げられて必要以上に巨人のふりをさせられたりとか、もあった。
スワンプは規模の醍醐味はない。その代わりに、温もりはあるんじゃないかな。わかってくれる人たちと、無理なくやっていける感じ。それがこれからのコンテンツ産業だ。
そんな小さな規模で成り立つのかって?小さな規模なりのエコシステムを構築すればいいのだ。
そこにiPadのような新しいデバイスが関係してくる。これを軸に、新たなビオトープがつくれるかどうか、なのだ。
前回の記事で、興収20億円でトントンになる映画は133万人を集めねばならない、と書いた。これはたいへんな作業だ。そして今後ますます難しくなるのだろう。
ではiPadでショートコンテンツを配信する場合、どうなのか。原価1000万円で何かを作って短時間楽しめるコンテンツとして500円で配信したとしよう。いったい何人に売ればビジネスになるだろう。
ざっくり計算すると、3万本売れたら元がとれる。5万本なら、750万円利益も出る。10万本なら25百万円も利益が出るのだ。
130万人集めてトントンになるのと、5万人に売れたらそこそこ利益が出るのと、どっちがどうだろう。どっちがいいかを問いたいのではなく、130万人集めるビジネスが大変になってくるなら、5万人をコンスタントに確保することを考えればいいじゃないかと言いたいわけだ。
130万人集めるには、「わりと誰もが一様にいいと思える」ことが大事になる。でも数万人なら、もう少し趣味性が強くても、志向が多少片寄っていてもいいのではないだろうか。スワンプができそうなら、それでいいのだ。
そして、片寄った志向のコンテンツで、日本だけで数万人獲得するのは難しいとしても(現にいま、本を出しても1万部突破は相当困難!)世界でなら何とかなる可能性が出てくるんじゃないか。
そうしたビジネスのエコシステムを作る時、大きなビルの大きな会社は不要なのだと思う。そういうレベルでは無理なのだと思う。数人、多くても十数人くらいでやっていくものだろう。そんな単位で人がいて、また別の場所にも十数人いて、それらの集団が時として協力しながら、コンテンツをこさえて、配信していく(ただし世界に!)。"業界"の姿は、そんな風になるのだと、ぼくは思うんだ。
”おいらとあんたの世界戦略"というタイトルにしたのは、そういう、これからのコンテンツビジネス界の姿をイメージしてのことだったの。おいらがいて、あんたがいて、あとはそうだな、あいつの力も借りようか、そんな感じでやっていくんじゃないのかな。
それって、業界が青山のオシャレで先端なイメージでやって来たのが、いきなり栃木の田んぼの中にお引っ越しする、という感じ。
悪くないんじゃない?なかなかいいんじゃない?そういうのも。おじさんはそう思うなあ。
あ、あの辺の人たちはうんうんと大きくうなずいて共感してくれている。見ると、おじさんおばさんたちだ。ぼくとそう年齢の変わらない人たち。そうね、ぼくたちはほら、バブルも若い頃経験して、その空虚さを思い知ったこの十数年だったしねえ。栃木の田んぼ、悪くないって思えるよねえ。
おや?向こうの方には、ちょっと不服げな人たちがいるぞ。あ、わりと若い、35歳以下の人たちだ。そうだよねえ、君たちは社会に出る時からして氷河期とか言われて、満たされない人生を歩んできたよね。それがここへ来て、スモールビジネスの幸福だなんて言われてもねえ。納得いかないよね、そうだよね。
よーし!わかった!そういう若者たちにはおじさんが"ドリーム”をあげよう。しかもちゃんと”おいらとあんたの世界戦略"の延長線上のドリームだ。ここまでとちがう話を言うわけじゃないよ。
ということで、次回は世界戦略大団円、の予定でお送りしますね・・・
SHARPのタブレットGALAPAGOSでのコンテンツ配信はTSUTAYAのCCCが合弁会社を設立してとりおこなうそうだ。
サムスンのタブレット端末GALAXY Tabは日本でドコモが通信会社となるそうだ。共同記者発表が行なわれた。
激流のように時代が進む。iPad発表時、腰が引けていた日本のメディアコンテンツ業界だったが、いまは新しい波にのる動きが続々登場だ。面白いなあ。明治維新で攘夷の波が開国に流れを変えた、みたいな。
さてそんな中、「おいらとあんたの世界戦略」も佳境だ。いよいよ核心だ。いちばん大事な部分に、入るよ。
前回、「さらばビッグビジネス」というサブタイトルをつけた。ということは、当然スモールビジネスこんにちは、ということだ。メディアコンテンツ産業は、スモールビジネスになっていくよ、というのが趣旨。そんなのつまらない!と言う人は、この業界を去った方がいい。商社にでも行って、中国以外の国のレアメタル市場でも開拓すればいい。ビッグビジネスだよ!
スモールビジネスは、別に「仕方がないから小さな規模で我慢するしかないね」なんていう、消極的な話ではない。むしろ、いままでよりもクリエイティブの世界がイキイキしてくることかもしれないんだ。
この話は実は、佐々木俊尚さんのセミナーについて書いた内容ともシンクロしている。これまでのマスメディアは大河で、これからのメディアはスワンプだ、小さな沼や池だ、という話とすごく近い。大河には強さとか大きさとかの醍醐味は確かにあった。けれども、その分、ひとりの存在が薄れたり、遠かったり、かすんだりした。あるいは、普通の人なのに大河の船頭に祭り上げられて必要以上に巨人のふりをさせられたりとか、もあった。
スワンプは規模の醍醐味はない。その代わりに、温もりはあるんじゃないかな。わかってくれる人たちと、無理なくやっていける感じ。それがこれからのコンテンツ産業だ。
そんな小さな規模で成り立つのかって?小さな規模なりのエコシステムを構築すればいいのだ。
そこにiPadのような新しいデバイスが関係してくる。これを軸に、新たなビオトープがつくれるかどうか、なのだ。
前回の記事で、興収20億円でトントンになる映画は133万人を集めねばならない、と書いた。これはたいへんな作業だ。そして今後ますます難しくなるのだろう。
ではiPadでショートコンテンツを配信する場合、どうなのか。原価1000万円で何かを作って短時間楽しめるコンテンツとして500円で配信したとしよう。いったい何人に売ればビジネスになるだろう。
ざっくり計算すると、3万本売れたら元がとれる。5万本なら、750万円利益も出る。10万本なら25百万円も利益が出るのだ。
130万人集めてトントンになるのと、5万人に売れたらそこそこ利益が出るのと、どっちがどうだろう。どっちがいいかを問いたいのではなく、130万人集めるビジネスが大変になってくるなら、5万人をコンスタントに確保することを考えればいいじゃないかと言いたいわけだ。
130万人集めるには、「わりと誰もが一様にいいと思える」ことが大事になる。でも数万人なら、もう少し趣味性が強くても、志向が多少片寄っていてもいいのではないだろうか。スワンプができそうなら、それでいいのだ。
そして、片寄った志向のコンテンツで、日本だけで数万人獲得するのは難しいとしても(現にいま、本を出しても1万部突破は相当困難!)世界でなら何とかなる可能性が出てくるんじゃないか。
そうしたビジネスのエコシステムを作る時、大きなビルの大きな会社は不要なのだと思う。そういうレベルでは無理なのだと思う。数人、多くても十数人くらいでやっていくものだろう。そんな単位で人がいて、また別の場所にも十数人いて、それらの集団が時として協力しながら、コンテンツをこさえて、配信していく(ただし世界に!)。"業界"の姿は、そんな風になるのだと、ぼくは思うんだ。
”おいらとあんたの世界戦略"というタイトルにしたのは、そういう、これからのコンテンツビジネス界の姿をイメージしてのことだったの。おいらがいて、あんたがいて、あとはそうだな、あいつの力も借りようか、そんな感じでやっていくんじゃないのかな。
それって、業界が青山のオシャレで先端なイメージでやって来たのが、いきなり栃木の田んぼの中にお引っ越しする、という感じ。
悪くないんじゃない?なかなかいいんじゃない?そういうのも。おじさんはそう思うなあ。
あ、あの辺の人たちはうんうんと大きくうなずいて共感してくれている。見ると、おじさんおばさんたちだ。ぼくとそう年齢の変わらない人たち。そうね、ぼくたちはほら、バブルも若い頃経験して、その空虚さを思い知ったこの十数年だったしねえ。栃木の田んぼ、悪くないって思えるよねえ。
おや?向こうの方には、ちょっと不服げな人たちがいるぞ。あ、わりと若い、35歳以下の人たちだ。そうだよねえ、君たちは社会に出る時からして氷河期とか言われて、満たされない人生を歩んできたよね。それがここへ来て、スモールビジネスの幸福だなんて言われてもねえ。納得いかないよね、そうだよね。
よーし!わかった!そういう若者たちにはおじさんが"ドリーム”をあげよう。しかもちゃんと”おいらとあんたの世界戦略"の延長線上のドリームだ。ここまでとちがう話を言うわけじゃないよ。
ということで、次回は世界戦略大団円、の予定でお送りしますね・・・