【シャル・ウイ・ルンバ】

【シャル・ウイ・ルンバ】

マーク・サンドリッチ監督の『踊らん哉』(1937)という映画を見たら原題はシャル・ウイ・ ダンス(Shall We Dance)だった。ああ、そうか。

フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの名コンビによるラブ・コメディで、先日おなじふたりの『トップ・ハット』(1935年)を観た。フレッド・アステアのタップダンスにあわせて踊れるジンジャー・ロジャースに、やはり感心してしまう。スカートにハイヒールだ。すごい。

毎朝シャル・ウイ・ルンバ(Shall We Roomba)をしている。ルンバと言ってもロボット掃除機ではなく人間ロボットのルンバで、室内をクルクル歩き回りながら目についた「やるべきこと」を目についた順に片付けて行く単機能ロボットだ。考えることはほとんどない。クルクル回って、もうやるべきことが見つからなくなったら朝の任務終了ということにしている。

ふわっとしたスカートやダチョウの羽のドレスをまとったジンジャー・ロジャースになったつもりでクルクル回っていると朝の仕事もまた楽しい。

2023年 3 月 10 日の六義園 去年は今年より木々の芽吹きが早かった

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20 音オルガニート

20 音オルガニートでうさぎのダンス Usagi no dance

20 音オルガニートでかわいいかくれんぼ Kawaii Kakurenbo

20 音オルガニートで狼なんか怖くない Who's Afraid of the Big Bad Wolf

を公開。

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2024年3月号(通巻16号)まで公開中

 

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【概日時計】

【概日時計】

フランス初のトーキー映画『巴里の屋根の下』(1930 監督:ルネ・クレール)から古い順に視聴希望リストをつくって区立図書館所蔵の DVD を借り出している。「今夜は何を見せてくれるの?」と妻が聞くようになった。

ようや1938年に到達し、『クリスマス・キャロル』(1938 監督:エドウィン・L・マリン)、『オズの魔法使(1939 監督:ビクター・フレミング)をネット予約した。

室内の植物に目を近づけて見ると、どの鉢植えにも春らしい芽吹きが始まっている。六義園内から飛んできて発芽したイロハモミジも、冬に入ってひょろ長い棒と化したところで短く剪定してしまったが、ベランダで越冬してしっかり芽が膨らんでいる。

生物の活動は自然界の周期によって枠づけされているが,人工照明の実験室内で自由に進むリズムを調べると,多くの生物には自然の日周期と別に,単細胞の藻の発光から人間の生理活動や尿の排出イオンまで,二四時間前後の体内周期が各所にある.二四時間より一,二時間ずれていることも多いので,これを概日(サーカディアン)リズムという.そのほか,四季ごとの植物の開花・落葉や鳥の渡りなどの年周期,女性の月単位の生理周期など,各種の生物周期を決める体内機構を生物時計または体内時計,これで決まるリズムを生物リズム(バイオリズム)という.(電子ブック版『知恵蔵』より)

生物は見事に設計された時計を生まれながらに持っている。スターターのようなものが作動し、その時計を使って自発的に変化を繰り返すようになることで物質は生き物になる。生き物が時間を測って自発的に変化していく仕組みは不思議だ。そういう意味で人間も宇宙という生き物の中で生きている。

自分がつくったリストに従って、自宅と図書館を粛々と自発的に往復しながらそう思う。

2024年3月13日 文京区本駒込 本郷通り脇のアジサイ

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでカリンカ Kalinka_Калинка
作曲/ラリオーノフ

20 音オルガニートでカチューシャ Katyusha_Катюша
作曲/ブランテル

20 音オルガニートでコサックの子もりうた Cossack Lullaby
Казачья колыбельная песня
ロシア民謡を元にした歌曲

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【おや?】

【おや?】

装丁する新刊書のゲラが PDF で届いたので読みながら気になった言葉をメモした。

「一次感情の言語化と感情語彙の拡張……」

「おや?」もしくは「あれ?」。言語化の結果として感情があるんじゃないのか。人は考え事をするとき、頭の中に言語化された「ことば」が先にあって、脳がそれを音読するのを自分の「考え」として認識しているんじゃないんだろうか。

自分が「考える」作業を自分で観察すると、考えは逐次脳に音読されて文章化されている。春とはいえ寒々しい景色を見ているときは、頭の中に「寒々しい」という文章が書かれていて同時に身体も寒々しい。だから考えていることを言う時は声を発し、書くときは頭の中に書かれた文章をそのまま外に書き出せば済んでしまう。

小学校の作文の時間では、「昨日の遠足のことを作文して書き終えた人から提出して遊びに行っていい」と先生が言うので、さっさと書き終えて、提出して、出て行こうとして驚かせていた。体験して頭の中に取り入れられたことは、すでに文章化されて忘れるまで頭の中にあるからだ。

成人しても、考え事の結果は頭の中で文章化されて覚えているので、それをそのまま書き出していると言ったら、意外な顔をされるのをかえって意外に思っていた。人間は誰でも読める文章として「ことば」で考えているんじゃないんだろうか。「おや?」もしくは「あれ?」と思う。

2024年3月13日 文京区本駒込一丁目 浄土宗増上山潮泉寺の桜はまだまだ

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでカリンカ Kalinka_Калинка
作曲/ラリオーノフ

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【なまえのひみつ】

【なまえのひみつ】

むかし通っていた歯科医院はひらがなで「〇〇〇〇歯科」と書き、数年前から通っている歯科医院もひらがなで「〇〇〇〇歯科」と書く。

むかし通っていた歯科医院の名は「〇〇〇〇歯科」とスルッと言えるのに、いま通っている歯科医院の名がとっさに出てこなくて、予定表に書き込むとき「ねえ、あそこにある歯医者、名前は何だっけ」と妻に聞いたりしている。

むかしなじみの名前は忘れて、いまのなじみの名前を思い出すようになりたいのだけれどうまくできない。不思議だなと来月の予定を書き込むたびに思っていたのだけれど、ようやく謎が解けた。

漢字は表意文字や象形文字という図形の感覚認識である視覚認識で扱うのだけれど、「〇〇〇〇歯科」というひらがな表記は表音文字の一種である音節文字による音韻認識なのだ。

人間が記憶を検索して思い出すための作業台であるワーキングメモリーは、同じ種類の感覚情報を同時に処理するのが苦手で、音韻の記憶を並べて聴覚的に検索する作業がうまくいかない。

学生時代に家庭教師で教えた小学生は「うらぐあい、うりぐあい、うれぐあい……」と順番に似た音韻をメモリーに読み込み比較して南米ウルグアイを思い出していた。

ということでむかし通った方の「〇〇〇〇歯科」は記憶の中で漢字変換して「〇〇歯科」と漢字の字面(じづら)を思い浮かべ、「……で、ひらがなの方は何だっけ」と音韻の記憶をたどると、ひらがなの「〇〇〇〇歯科」がすぐ出てくる。

岡田英弘『漢字とは何か』藤原書店

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20 音オルガニートで

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作曲/ラリオーノフ

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【ハイホー】

【ハイホー】

文京区立図書館の収蔵映画リストにウォルト・ディズニー『白雪姫』(Snow White and the Seven Dwarfs)(1937)があったので借り出して夕食時に観た。ほんの一部をテレビや本で見たことはあったけれど、ちゃんとした鑑賞への小さな扉を近所の図書館で見つけた。

2010 年 3 月 11 日 文京区立千石図書館

一つひとつの生き物が主体性をもって画面内にたくさん登場する。それぞれが相関的で自由に動き回るさまを描いた膨大なセル画が、滑らかにつながれ動画として生み出される手作業に感動した。いつかこういう気の遠くなるような作業( 4 年間!)まで生成 AI が代行してしまう日が来るのだろうか。

鉱山に通って毎日コツコツとダイアモンド掘りをする七人の小さな人たちが「ハイホー!ハイホー!」と体をゆすって楽しそうに歌って歩く姿を実際に見た。

ハイホー(heigh-ho)」は、辞書にある「まあ」「わーい」「あーあ」「やれやれ」といった「驚き」や「笑い」や「憂うつ」や「退屈」や「落胆」や「疲労感」の表現をないまぜにし、元気づけのために歌われる「囃し言葉」だったのだ。そう理解した。

2010 年 3 月 11 日 文京区立千石図書館

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20 音オルガニートで

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作曲/ラリオーノフ

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【はーーい!】

【はーーい!】

最近よく寝言を言うらしい。
「夜中に寝言を言ってたわよ」
と妻に言われるときは、夢の中で寝言を言っていたという自覚があることも多い。夢の中で誰かに何かを滔々と語っている。

一昨日は自分の寝言で目が覚めたけれど、あまりに馬鹿馬鹿しい寝言だったので、
「大声で寝言を言って目が覚めたんだけど、わかった?」
と聞いたら
「気がつかなかった」
と言う。
「おもしろかったのに残念」

来客を告げるドアチャイムが夢の中でポーーンと鳴ったので
「はーーい!」
と大きな声が出て、自分の声の大きさに驚いて目が覚めた。
呼ばれた気がした闇の中の「はーーい!」。
静寂の中で時計の針は午前三時を指していた。

2010 年 3 月 11 日 東日本大震災前年の今日 豊島区駒込

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20 音オルガニートで

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【ものみな湧くが如く】

【ものみな湧くが如く】

鈴木大拙を読んでいたら
「あたかも山頂の陰から雲が昇ってくるように」(『禅と日本文化 新訳完全版』)
という表現があって、幼いころ暮らした郷里清水で、雲が山の向こうから止めどなく湧いて出るように見えていたのを思い出した。

禅では、概念となることで死んだ言葉を「死句」、観念を手放さずに生きている言葉を「活句」という。

日本海側に大雪警報が出ているとき、太平洋側に吹き降りてくる風は三月になっても身を切るように冷たい。夏は現象が逆転し、脊梁山脈の両側に「湿と乾」、「冷と熱」が交互に湧き出ている。

寒の戻りに震えながらも、丸裸になった木々の枝には新しい季節が着実に芽吹いている。やがて必ずコンクリート建造物群の陰から新緑が堰を切ったように湧いて出る春になる。

花屋の店頭にはひと足早く草花の苗が次々に湧き出るようになった。かわいいミニバラの苗が並んで、妻が欲しそうにしているので、ひとつ買って空いている鉢に植えてみた。昨年は異様な猛暑で青紫蘇がうまく作れなかったので、今年はパセリだけにしたぶん鉢がまだ余っている。

2009 年 3 月 10 日 本駒込

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20 音オルガニートで

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【小鳥の死】

【小鳥の死】

住民交流会と称したマンション内飲み会で同じ屋根の下に暮らすご近所さんたちと話していたら、都の庭園に面した区画では園内から飛んできた小鳥がガラス窓に激突して、ときどきベランダに落ちて死んでいるという。

住んで 30 年になるけれど、自宅でも仕事場でも、一度もそういうことがないのでびっくりした。位置と角度によって衝突事故が起きやすい窓があるのだろう。

小鳥の死骸の始末は、手慣れたお父さんが健在の頃はどこかに片付けてくれていたという娘さんがいて、仕方ないから生ゴミとして捨てているというご婦人もいる。

そんなことがあったとしても、ゴミとしては捨てられないなあと思いながら聞いていると別の女性が、庭園管理事務所に電話して「公園内から飛んで来た小鳥がガラス窓にぶつかって死にました。どうしたらいいですか」と伝えたら、「どうぞお持ちになってください」と言うので引き取ってもらったという。なんだかしみじみとした。

2009 年 3 月 9 日のサンシュユ(山茱萸)別名ハルコガネバナ(春黄金花)

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20 音オルガニートで

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作曲/ラリオーノフ

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作曲/ブランテル

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【線引きと車引き】

【線引きと車引き】

絶版なので仕方なく、古書の中からとびきり安いのを選んで買うと、たいがい本文に線引きがある。それで傷ありの捨値になっている。

読み始めてすぐ「どうしてこんな箇所に消えないボールペンや蛍光マーカーで線を引く?」と思う書き込みがあり、そういう本はそこから先に読まれた形跡がないことが多い。

久しぶりに赤ボールペンによる線引きだらけの本を読み終え、最終ページまで的確な線引きがあるので感心した。読書散歩の先棒を振るよい車引きに当たったのだけれど、肝と言える大事な箇所に正直な「?(はてな)」マークがあるので笑った。

「生とは」「死とは」「私とは」「いまこことは」といった自己言及が避けられない箇所になると、頭の切り替えが必要なのでわかりにくくなってしまう。言語ゲームの限界だ。

読み終えて、これはまた読む機会もある良書だと思ったので、「外装使用感、フチヨレ、経年感、イタミあり」されど「本文に書込み無し」というのを再注文した。

2008年3月9日 港区赤坂 一木通りにて

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートで早春賦 Sousyunfu
作曲/中田章

20 音オルガニートでおもちゃのマーチ Omocha no March
作曲/小田島樹人

20 音オルガニートでミッキーマウス・マーチ Mickey Mouse March
作曲/J.ドット

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【ベレー帽とオペラハット】

【ベレー帽とオペラハット】

保育園の園友に畳屋の富士子ちゃんがいた。富士子ちゃんはいつも、新しい畳のようにこざっぱりした服装をしてベレー帽をかぶり、ドングリのようにコロッとまとまったおしゃれな女の子だった。

遊び友だちだったので家に連れて帰ったら、富士子ちゃんが帰ったあとで、
「富士子ちゃんはえらい。しつけが行き届いていて感心しちゃった」
と母が言う。

どこがえらくて感心したのかと聞いたら、
「富士子ちゃんが洟をかむのを見ていると、あの子は洟をかむとき、ちゃんと鼻の穴を片方ずつ押さえて片方ずつじょうずにかんでいた」
と言う。

「あんたがいつも両方の鼻の穴をいっぺんにかんで洟水を脇から噴き出しているのとは大違い」
と言われて、なるほどなと思った。

昨夜はフランク・キャプラ監督による『オペラハットMr. Deeds Goes to Town』(1936)を見た。主演のゲーリー・クーパーが良かった。

邦題のオペラハットってなんだろうと調べたら、シルクハット(トップハット)を平たく畳んで行儀よく膝におけるようにした観劇用の帽子だそうで、なるほどなと思った。相続金目当てで行儀の悪い連中が大勢出て来るのを、最後にまとめて平たく叩きのめすアメリカ的痛快譚である。

2007年3月8日 文京区本郷の東大構内にて

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートで早春賦 Sousyunfu
作曲/中田章

20 音オルガニートでおもちゃのマーチ Omocha no March
作曲/小田島樹人

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作曲/J.ドット

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【目には青葉】

【目には青葉】

鮮魚店店頭にもう初鰹が並んでいた。五七五のリズムにこだわると

目に青葉山ほととぎす初鰹

と言いたくなるけれど、江戸時代の俳人山口素堂の句は

目には青葉山ほととぎす初鰹

が正しい。

助詞「は」は「目」ではなく「目に」をうけているのであり、続く「山ほととぎす」にかかる「耳に」、「初鰹」にかかる「舌に」を省略することによって、目耳舌がうける感覚を上手に短い歌のなかへとおさめている。

2024年3月4日 文京区立千石図書館

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20 音オルガニートで

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作曲/中田章

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【ユングとウンコ】

【ユングとウンコ】

保育園児だった頃、公園で一緒に遊んでいた園友が突然ズボンを下ろしてしゃがんでウンコをしたので驚いた。

突然の青空ウンコに驚いたのではなく、彼のはいていたパンツがパカッと左右に開いて、膝下まで引き下ろさなくても排便できる便利な構造になっていたからだ。

なんて便利なパンツなんだろうと驚いたので、家に帰って
「〇〇ちゃんは下ろさなくてもウンコができるパンツをはいてた」
と言ったら、
「あんたはちゃんとパンツを下ろせるんだからああいうのはダメ」
と母親に笑われた。

心理学者カール・グスタフ・ユングの自伝『ユング自伝 1・2―思い出・夢・思想』みすず書房を読んでいる。ユングの幼年時代の記憶を辿りながら、ともだちのウンコを思い出した。

2024年3月4日 文京区立千石図書館

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20 音オルガニートで

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作曲/中田章

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【中枢語】

【中枢語】

読んでいる本に『中枢語(ピヴォクルワード)』という聞きなれない言葉が出てきた。『ピヴォ』というのはおそらくピボット(Pivot)で、ピヴォクルとはバスケで片足を軸にクルクル回転するあれのような作用をさしているのだろう。

人は「神」とか「生」とか「死」とか、定義が曖昧で誤魔化しやすい重要語を、分かりきったこととしてまたぎ越し、その大事な言葉を踏んだ軸で回転して簡単に話を進めようとする。それらを中枢語(ピヴォクルワード)と著者は言っている。なるほどなあと思う。

2024年3月2日 学生時代にいつもジーンズを買った店 北区西ヶ原

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートで早春賦 Sousyunfu
作曲/中田章

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【人みな眠りて】

【人みな眠りて】

夢を見た記憶のない眠りは、その間死んでいたに等しい。目黒区駒場でで保育園児をしていたころオート三輪に轢かれて死にかけたことがある。その事故の前後にわたる期間はまったく記憶がないので、人生においてその間は死んでいたに等しい。

孫が死にかけたことで「わりゃ子育て失格だ!」と母に激怒した祖父に連れもどされ、祖父母の家から郷里清水の幼稚園に通った期間が事故後にある。その途中から新たな記憶が再開されており、新たに始まった人生の記憶を振り返ると、自分はあのまま死んでいたかもしれないんだなと思う。

夢を見た記憶すらない睡眠。人は夢を見た記憶のない眠りによって毎日臨死体験しているに等しい。記憶がないのは脳死に近い。だから毎朝奇跡的に目が覚めるたびに、ああ今日もまた生き返って良かったと思う。

眠りと目覚めの奇跡について書かれた本を探してみたけれど、睡眠法の工夫で自分が他人よりいかに得するかという、うんざりするような啓発本もどきばかりだ。検索結果の中にキラリと、学生時代よく読んだカート・ヴォネガットを見つけたので最後の短編集『人みな眠りて(While Mortals Sleep)』 (河出文庫)の電子書籍版を買ってみた。

人みな眠りて 知らぬまにぞ
御子なるキリスト 生まれたもう
あしたの星よ うたいまつれ
「神にはみ栄え地に平和」と(賛美歌 115 番) 

2008 年 3 月 6 日、港区赤坂 聖パウロ女子修道会

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20 音オルガニートで

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作曲/中田章

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作曲/小田島樹人

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【よく生きよく死ぬ】

【よく生きよく死ぬ】

新聞の広告を見ていると「よく生きよく死ぬための智恵」などといったたぐいの、よくわからない副題がついた本を見かける。

自分にとって「よく生きよく死ぬ」とは智恵などではなく、毎日「よろこんで起きてよろこんで寝る」という生活習慣に尽きている。

願わくば「よろこんで起きてよろこんで寝る」が「よろこんで寝てよろこんで起きる」と、どちらが先かの順序を入れ替えて考えられるようになるとベストである。

「よろこんで寝てよろこんで起きる」なら、よろこんで寝てそのまま呼吸がとまって喜べなくても、「どうしてくれるんだ!」と八つ当たりする義務がないからである。

そういう存在的義務がないことを「無」という。

2002 年 3 月 5 日、段差のある家の犬の工夫

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