▼太陽がいっぱい

東京都港区赤坂7丁目。
ドイツ文化会館前にある桜の脇に
ひっそりとビワの木が植えられているのを
この道を足繁く通るようになって十数年経った昨日初めて気づいた。



食い意地が張っているので
「(食べればいいのに……待てよドイツ人はビワを食べるのかな)」
ということが気になりドイツ文化会館職員に聞いてみる度胸もないので
辞書を引いてみたらビワはドイツ語でMispel(ミスペル)だった。
ビワは食べなくてもミスペルは食べるのだろう。

コメント ( 3 ) | Trackback ( )

【雨の日の楽しみ】

【雨の日の楽しみ】

雨の日に山肌を這う雲。
「(ああ、あそこへ行ってみたい)」
などとは思わないけれど気になって見入ってしまう。


あまり夢中になりすぎて
すっかり衣服までずしりと湿ってしまうのだけれど、そういう世界との一体感もまた考えようによっては雨の日の楽しみでもある。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )

【時の記念日の清水ライナー】

【時の記念日の清水ライナー】

折戸発東京駅八重洲日本橋口行き清水ライナーにて。
 
御殿場サービスエリアで10分間の休憩がある。
出発時刻は9時43分なので早めに席に戻ったら2分前だった。
運転手がカウンターをカチカチと押しながらすべての乗客が車内に戻ったことを確認しぴったり定時に出発する。
JRのせいか時を大切にしているようできちっとしていて気持ちがよい。


撮影日: 07.6.10 9:43:37 AM
Canon PowerShot G7

昨年、友人を見舞った帰りに乗った東名とは別路線の高速バスは「トイレ休憩したい人いますか、いなかったら道が混んでるから先を急ぎます」
などというアナウンスがあってびっくりした。
「はい、したいです」
などと大声で言えないことを見越しているようで嫌な気分だった。
JRとは別の時の大切さが優先しているのだろう。

コメント ( 4 ) | Trackback ( )

【洋菓子喫茶富士の天窓】

【洋菓子喫茶富士の天窓】

静岡県清水へ片付け帰省したら土砂降りだったので気勢をそがれ、実家二階で本を読んだり寝たりして過ごし、目が覚めたらなんと雨が上がっていた。

前日に清水在住の方からメールを貰って午後1時に初めて会う約束をしたので咄嗟に待ち合わせ場所に選んだ清水銀座の「洋菓子喫茶富士」に行く。

少しでも明るい席がいいので奥の窓際の席に行ったら、なんと明かりとりを兼ねた中庭だった。

旧東海道に面した立地なので間口が狭く奥行きがあり、そういう家は皆このように家の中程に換気と明かり取りを兼ねた中庭があるのだけれど、このお店はコンクリートの店舗兼用住宅に建て替える際にもその素晴らしい構造を踏襲されたらしい。

一度こういう席で読書がしたかったのでひどく嬉しく、ちょっと土砂降りの雨がどう見えるのか、もう一度降ってこないかなぁなどと思う。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )

【携帯用先割スプーン】

【携帯用先割スプーン】

エスパルスドリームプラザ前で隔週日曜日に行われる「あっ朝市」で、農家が持ってきていたちらし寿司を買い清水ライナー東京行きの車内で食べようと思ったらお箸がついていないことに気づき、隣に座ったのが女性だったので恥ずかしくて手づかみで食べるわけにも行かなかった、と話したら友人が
「そういう時のためにターバンを持っていた方がいいと言う。


さすが持つべきものは後輩で実に的確なアドバイスなのだけれどターバンの巻き方を知らないし、あまり似合いそうもない気がするので代々木から新宿に歩く道すがらにある登山用品店で折りたたみ式の携帯用先割れスプーンを買っていつも持ち歩くことにした。
先割れスプーンを使うのは小学校の給食以来だ。

コメント ( 6 ) | Trackback ( )

▼雲を投げる

いつもなら右に折れる道を左に折れたら
石段の上に初めて見る看板が目についた。

天串『ゝゝ』とあるのだけれどなんと読むのだろう
「(まさかてんてんじゃないよなぁ)」
と首をかしげる。



出版社の打ち合わせで外出したので編集用語を思いだし
編集用語では「ゝ」がひらがななら「ひらがな繰り返し記号」とか
「ひらがながえし」とか「ひらがな送り」と呼ぶ。

「ゝ」単独では読みがないはずだと思い
帰宅後インターネットで調べたら京都には『ゝや』などという粋な履物屋もあり、
「ゝ」を「ちょぼ」と読んで、店の名『ゝゝ』は「ちょぼちょぼ」なのだった。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )

▼清水ラーメン図録

このラーメン屋があるあたりは僕が幼稚園児だった頃、
商店はおろか民家もなければ街灯すらなくて、
日が暮れればカエルや虫の大合唱が聞こえる寂しい田んぼだった。

幼稚園で貰ったコッペパンを帰宅途中の田んぼに落としてしまい
泣いて帰った思い出は食い意地が張っているせいか今も生々しく覚えている。


    撮影日: 07.6.2 0:59:21 PM
    RICOH GR Digital

そんな場所にいつの頃かラーメン屋が唐突に出現し、
あんな場所で商売になるのかと心配したが
今でも元気に商売をしているので一度入ってみたいと思っていた。

墓参りの帰りに車を停め、
コッペバンを落として泣いた場所でチャーシュー麺を食べる。
出てきたのは見ての通り黒々としたラーメンでちょっと意外だった。
スープに「あれ」を加えて「あれ」したら
旭川ラーメンのような味になりそうな気がする。

コメント ( 8 ) | Trackback ( )

▼梅桃(ゆすらうめ)が実るとき

道を歩いているとこんな光景を目にする季節になった。



植物の芽がそこまで来ているはずの夏を探している。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

▼避雷針

母親が静岡県清水旭町で営んでいた飲み屋で閉店まで飲み、
店を閉めた母と一緒に自宅まで歩いて帰る際、
巴川に架かる橋の上で雷鳴が轟いているとひどく怖かった。

「だーいじょうぶ、宝くじに当たるより雷に当たる方が難しいよ」
と母は笑い、それでも怖くて橋の上を走って駆け抜けると
「まーったく、あんたは自意識過剰だよ」
と笑われたものだった。



確かに自意識過剰なのか、今でも雷鳴が轟くと
自分の上に落雷しそうな気がして怖い。

雷なんてちっとも怖くないし落ちても俺は平気だと
酔って雷鳴轟く夜空の下、腕時計をはめた手を振り回しながら歩いている友人がいたが
彼は自意識が過小だったわけではなく、
「だーいじょうぶ、男はみんな避雷針を持ってるんだから」
という酔っぱらいのたわけた根拠に基づいているのだった。

コメント ( 4 ) | Trackback ( )

【ここの朝とあそこの朝】

【ここの朝とあそこの朝】

新清水駅前を朝5時56分に出発する上り清水ライナーが東京駅日本橋口へ朝8時39分に到着し、友人が乗車しているので迎えに出る。


このバスが5時40分に折戸車庫、5時45分に清開二丁目、5時50分に波止場フェルケール博物館前に存在していて、ここが東京駅日本橋口であるということに故郷への郷愁も加わってしんみり感動してしまう。
馬鹿みたい…かな。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )

【喫煙コーナーの人々】

【喫煙コーナーの人々】

喫煙をやめて間もなく丸4年になる。

やめてこれだけ長い年月が経つと、喫煙者の行動が見知らぬ世界にある異文化世界のなんとも不思議な儀式のように感じられるようになってきた。


オフィスビル13階、廊下突き当たりにある共同喫煙コーナー。

オフィス内喫煙が許されていた頃は仕事をするふりをしながら喫煙ができたが、室内喫煙禁止だとこうやって喫煙コーナーに来なければならない。

直立したり壁に寄りかかったりし、窓外をぼんやり見つめながら喫煙する人の姿はいい悪いは別にしてやっぱりどことなく奇妙だ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

【清水東高文化祭……(3)化学部+】

【清水東高文化祭……(3)化学部+】

静岡県立清水東高。

野球部が練習試合をするグランドの向こう、画面中央やや左寄りにある木のむこうがわがパナソニックの看板がある「栗林デンキ」。


その向こうに友人たちが住む西久保や庵原の町並み、旧友が看介護長をつとめる介護老人保健施設「鶴舞之城」まで見えなんだか見晴らしがききすぎて人生の沸点が高まってしまいそうな景色。

コメント ( 4 ) | Trackback ( )

【梅桃(ゆすらうめ)が実るとき】

【梅桃(ゆすらうめ)が実るとき】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 7 日の日記再掲

 

静岡県清水入船町。
エスパルスドリームプラザ前で隔週開催される「あっ朝市」に農家のお年寄りがユスラウメを持って来られていた。

ゆすらうめ【桜桃・山桜桃・梅桃】
バラ科の落葉低木。中国原産。高さ約3メートル。葉は楕円形。春、葉に先立って葉のつけ根に白色5弁の小花を開く。花後、小球形の核果を結び、梅雨の頃紅熟、食用。ゆすら。漢名、英桃。(広辞苑第五版より)

■水洗いしたユスラウメ。この量で100円だった。
Canon PowerShot A620

かつてNHK朝の連続テレビ小説「あぐり」という番組があり、15 歳で結婚し吉行淳之介、吉行和子、吉行理恵を育て 90 歳を過ぎても「吉行あぐり美容室」を営まれていた吉行あぐりさんの自伝小説をテレビドラマ化したものだった。その自伝小説の題名が『梅桃(ユスラウメ)が実るとき』だった。

生まれて初めてユスラウメを口に含んだら渋くて酸っぱく、それでいて滋味があるので「(そうだ、これを塩漬けにしたら美味しいんじゃないだろうか)」と思って買ってみた。

■清水の友人がおみやげにくれた戸田塩。戸田は「とだ」ではなく西伊豆の「へだ」。
Canon PowerShot A620

前夜一緒に飲んだ友人が「 NPO 戸田塩の会」の塩をくれたので洗ったユスラウメにまぶしてガラス瓶に入れ、水の上がり方を見ながら塩の調節をする。漬け込んで 5 日経ったので一粒つまんでみたらすごく美味しい。

昔、東北の物産で桜桃(さくらんぼ)を塩漬けしたものを食べたらとても美味しかったのでユスラウメでもいいんじゃないかと真似してみたのだけど大成功だった。

■塩漬け 5 日目のユスラウメ。まだ塩が浅く果実の味が強い。
Canon PowerShot A620

インターネットでユスラウメを検索したら塩漬けしたものは風邪の特効薬になると記されているので、昔からユスラウメの実は塩漬けにされていたらしい。

吉行淳之介さんに続いて吉行理恵さんも他界されてしまったけれど、お母さんである吉行あぐりさんはどうしておられるかと調べてみたらこの 7 月で 100 歳になられるという。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

【私はゆりかもめ+】

【私はゆりかもめ+】

東京都江東区有明。
東京ビッグサイトのこれまた奇っ怪な建物。


国際展示場正門駅前に地図があり、撮影して置いたものを帰宅して眺めたらやっと方向感覚が戻ってきた。


東京ビッグサイトからの帰りは東京駅八重洲口行きの都営バスに乗ったのだけれど、窓から見える景色が、昔、晴海の国際見本市会場からバスにゆられて帰った道すがらの景色に似ているのでおかしいなぁとおもったら晴海の沖合に東京ビッグサイトがあって同じ道を辿って帰るのだった。

コメント ( 4 ) | Trackback ( )

【私はゆりかもめ】

【私はゆりかもめ】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 5 日の日記再掲

 

6月5日、郷里静岡県清水の友人夫婦と早朝の東京駅八重洲口で待ち合わせ、FOOMA JAPAN 2007(国際食品工業展)「食とキカイの玉手箱」を見に行く。
 
折戸発東京駅八重洲口行きのJR高速バス清水ライナーで到着した友人たちとそのまま京浜東北線に乗り込んで通勤ラッシュに揉まれていると
「今日の静鉄はばーかに混んでるねぇ」
などと声が出そうになる。

■新橋駅前を出発したゆりかもめ。
Canon PowerShot A620

企業のサラリーマンデザイナーをしていた頃は、仕事で晴海の東京国際見本市会場までいろいろなショーを見に出かけて行ったものだけれど、有明の東京ビッグサイトになってからは初めてなので、20 代の懐かしい日々を思い出す。

新橋から新交通システムゆりかもめに乗るのもまた初めてなので嬉しくなってしまう。

■東海道新幹線と併走するゆりかもめ。
Canon PowerShot A620

ソ連の女性宇宙飛行士ヴァレンチナ・ヴラディミロヴナ・テレシコヴァが宇宙ロケットボストーク 6 号に乗り込んで「ヤー チャイカ(私はカモメ)」と叫んだのが 1963 年 6 月 16 日なので今からほぼ 44 年前のことになる。

新橋駅を出発し汐留駅、竹芝駅、日の出駅、芝浦ふ頭駅を過ぎたらゆりかもめが急にグルグル旋回しだして方向感覚を喪失する。

そしてお台場海浜公園駅を過ぎたらフジテレビの奇っ怪なビルが見え、台場駅、船の科学館駅、テレコムセンター駅、青海駅と停車してもいつまでもフジテレビのビルが見えているので完全に方向がわからなくなり、昔、段ボール箱に入れられ何度も何度も町内をグルグル回されて方向の記憶を奪われたあげく、隣の寂しい町外れに捨てられていた子猫のような気分になる。

■レインボーブリッジを眺めながら旋回するゆりかもめ。
Canon PowerShot A620

「(私はゆりかもめ、方向音痴のゆりかもめ。これから新交通システムにゆられて捨てられに行くの……)」
などと意味のないことを心の中で呟くように国際展示場正門駅に到着した。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 前ページ 次ページ »