◉水の輪

2018年7月6日
僕の寄り道――◉水の輪

昨夜は激しい雨だったせいか夜中に何度も目が覚め、その度にひどい夢を見ていた。寝ているときの自分はろくでもないことを考えているらしい。恥ずかしい。

ニュースを読んだら、長崎県立長崎西高校生物部の女子生徒3人が、大村湾で新種のアメンボを見つけたとあり、一昨日読んだ長塚節『佐渡が島』を思い出した。

「五位鷺が一羽おりて太藺の蔭にぢつとして居る。折柄俄雨が一方から水面を騷がしてさあつと降つて來た。鷺がすうつと飛び出して岸から垂れた小枝へ移つた。雨の脚が過ぎると水面は復た一方から靜かになる。汀には木の葉の滴りが水に大きな輪を描いて水馬が小さな輪を描いて居る。」【佐渡が島】

太藺はすぐ降参して辞書を引かなければ「ふとい」と読めなかったが、小さな輪を描いている水馬が読めそうな気がするのに「あめんぼ」と読めなくてやはり辞書を引いてしまった。

この人は子規の写生主義の正当な継承者と言われたこともあり、そのせいか、あるいは熱心に万葉短歌研究に励んだせいかは知らないけれど、辞書を引いてもわからない難しい漢字づかいが多い。青空文庫も定義外の漢字表記に苦労している。

水馬同様たいした難読ではないかもしれないけれど檐端(のきば)も読めなかった。悔しい。調べたら子規に、

飯蛸の手をひろげたる檐端哉

の句がある。そういえば青空文庫『佐渡が島』長塚節(2011年11月24日修正版)に、受けの括弧が一字脱落している箇所を見つけた。原本もそうなっているのか、苦労された入力者のミスかはわからない。(2018/07/06)


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