【足場と枠組】

【足場と枠組】

出版社で打ち合わせを終えて外に出たら、並びにある建築現場に足場ができていた……と、見たことを頭の中で言葉にしたら「(おやっ?)」と思い、引き返して写真を撮る。

写真を撮りながら、どうして「(おやっ?)」と思ったのだろうと考える。 
おそらく3~4階建ての家が建つのだろうけれど、基礎工事を終えた土地を囲むように、まず足場が組まれる工事現場を見るのが初めてなのだ。


打ち合わせを終えて通りがかりに何気なく撮った写真。
DATA:SONY DSC-T1

家というのは基礎工事を終えたら資材を搬入して組み上げ、できあがった部分を足場にしてさらに組み上げて行くもの、と思っていた。
そして新築の家を囲むような足場が必要になるとしたら特殊な吹き付け工事などが仕上げに必要な場合に限られるのではないか、という思い込みを拭い去ることができない。家が建つ前に足場を作って外枠で囲ってしまうと資材の搬入の邪魔になるのではないか、手順を間違えたのではないか、と思えてならない自分の枠組みから出られない。


「(おやっ?)」と思い、引き返して撮った写真。
DATA:SONY DSC-T1

不思議な光景を見たなぁと思いつつ西武池袋線と山手線を乗り継いで駒込に帰り、しもふり銀座『笠原豆腐店』で義父母の好きな生ゆばをお土産に買い、染井銀座を抜け、区立駒込小学校脇の坂道に向かって歩いていたら、建築現場があり「(家の骨組みは完成だな)」……と、見たことを頭の中で言葉にしたら「(おやっ?)」と思い、引き返して写真を撮る。


「(おやっ?)」と思い、引き返して撮った写真。
DATA:SONY DSC-T1

この建築中の家にも取り囲むような足場が組まれており、練馬区の現場で家を組み上げて行くと、やがてこうなるのではないか、これは同じ工法なのではないかという気がしてきた。

母親が他界して年が明けて春になり、年度末の忙しさも一段落し、このところボーッとしがちなので
「(あれっ、昔からこういう工法が当たり前で、珍しくもなんともないのかなぁ……)」
という気もしてきて、ボーッとしながら家路を急ぐ春の夕暮れである。

( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2006 年 4 月 16 日、16 年前の日記に加筆のうえ再掲載。)

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 【単位】 【あくびの構造】 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。