◉アルコール気分

2018年9月10日
僕の寄り道――◉アルコール気分

夕暮れも迫ったので、さて乾杯していっぱいやろうとグラスを持ったら友人がいきなり焼酎お湯割りをつくる。暑いのにはじめからお湯割りを飲むのかと笑ったら、最近ビールをうまいと思わなくなったのでそうしているのだと言う。そういえば最近わが家もめっきりビールを飲まなくなった。

それではビールがほんとうにおいしくなくなったのかというとそうでもなくて、外食して飲食店で飲むビールはおいしいし、会議帰りに仲間で乾杯するビールもおいしい。どうも、家庭で家族とちんまり飲む「ハレ」でない日常的な「ケ」の場が、苦いビールをおいしく感じさせるチカラを失いかけているのではないかと思う。一方でたったひとりの「ぼっちビール」だとほろ苦さが旨味に転じるかもしれないので感じ方は複雑だ。

近所の若者とマンション内「うち飲み」をすると、自分用に缶入りハイボールを買って来ましたなどとかわいいことを言う。缶入りハイボールなんかがうまいのかと聞くと、これがすごくおいしいんですと言う。「おいしい」は味覚より多分に心理的な感覚なのだろうとウィスキーが苦手なおじさんは思う。

妻が休肝日だなどと言って涙ぐましくも月曜夜の飲酒を我慢するので、近所の酒屋でノンアルコールビールを買ったら会計時に「はい私は二十歳以上です」のタッチボタンを押せと言う。二十歳以下のノンアルコール飲料喫飲が禁止されているのかと調べると、そういうわけでもないらしいので「おや?」と思う。ノンアルでも子どもに売らないのは酒屋の自主規制らしい。

「夏はやっぱりスーパードライノンアルが辛口でうまい」とか「ノンアルはやっぱり麦とホップの香りに限る」とか「ノンアルでも一番搾り製法はひと味違う」などと言う子どもが増えたら困る気もするので、これも社会心理的な問題かもしれない。

ノ ン ア ル で 愉 快 程 度 の 月 夜 な り

(2018/09/09)


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