【煉瓦塀の秘密】

【煉瓦塀の秘密】

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2003 年 4 月 23 日の日記再掲)

『乱れ撃ち清水ノート』のページに、郷里静岡県旧清水市かつての東海道沿いにある駐車場に不思議な煉瓦塀が残っているが、いったい何だったのだろうと書いたら、稚児橋たもとにある清水で一番古い割烹料理店『楠楼』さんの親戚筋に当たる友人が、早速問い合わせてメールで教えてくれた。この場所はかつて『杉浦生花店』さんがあった場所なのだけれど、そのお店の歴史を知らないので生花店と煉瓦塀が結びつかなくて不思議だったのだ。早速、謎が解けて嬉しい。

駐車場になっている場所の右隣は現在『ヤマグチ理容店』さんなのだけれど、その場所に昭和初年頃からパン屋さんがあり、そのパンを焼いた窯の名残なのだそうだ。パン屋さんの名前はわからないけれど、第二次世界大戦末期、清水大空襲により消失してしまったらしい。その後、お菓子屋さんが入ったりしたこともあるが、この煉瓦塀は消えずに残ったのだという。

清水の大空襲は市街地のほとんどを失うほど激しく、駿河湾に侵入した潜水艦からの艦砲射撃もあったそうなので、こうした古い建造物がその一部でも残っているのはとても珍しいことだと思う。

塀というのは不思議なもので、僕の生家と隣家の間にあるブロック塀は土地の境界線の真上にあって、塀の厚みを両家で折半している、というわけでもないらしい。この煉瓦塀モニュメントが残った事情も様々に類推できるので、清水市の歴史保存のため是が非でも保存した……というわけでもないだろう。

インターネットという便利な道具を得て、人から人へ口伝えで郷土の歴史を語り継ぐ貴重な「ふるさとの栞」になっている。

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