◉息を殺す

2018年6月29日
僕の寄り道――◉息を殺す

自分の呼吸を相手に読まれないことは、刀を持ってほんとうに命のやり取りをした時代の武士には、とても大切なことだった。だから彼らは「自分の息を殺す」ことを練習した。真剣勝負とはそういう行為として泥臭いものだ。それを格技では「無息の呼吸」という。

意識が上がると呼吸が乱れ、相手に呼吸を読まれる。意識を静めた状態は死に近い。だが限りなく「近い」状態は「等しい」状態ではない。「積極的な静止」は高度な勇気を必要とする戦略的行為である。緊張を意識したまま身体を解放するのだ。

命のやりとりはそういう意味で見世物にならないつまらないものである。本物のチャンバラはつまらなく見えるはずで、つまらなく泥臭いという意味で凄惨なものだ。

「結果が全てだと思いますし、それは本当にすごいなと今日に限っては思いましたね」(本田圭佑)。そう言ってみるとすっきりするサムライニッポン、祝、サッカーワールドカップ日本代表、第一次予選通過。(2018/06/29)


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