▼池上本門寺門前までカレーを食べに行った話

 

久しぶりに昼食時一人だったので、以前から行ってみたかった池上本門寺門前の蕎麦屋まで出掛けてみた。



東急 池上線 蒲田駅


東京都大田区池上2丁目にある『蓮月そば店』は昭和初期に建てられた店舗を大切に使われており、テレビ番組で見た瞬間に感動したが、番組自体の主旨は建物がオンボロでも美味しい店という取り上げ方で、若くて娯楽的テレビが好きな層にとって、古いものを大切に使うということはただボロいと感じるだけで、さして価値を感じられないものなのかなとがっかりした。



『蓮月そば店』


とはいうものの建物は目当てではなく、実は昔懐かしい家庭風当座のカレーを作って出してくれるというのを知って心ひかれたのだった。インスタントカレールーが普及する以前、各家庭では野菜と肉と小麦粉とカレー粉を合わせて実に個性的な黄色いカレーが作られており、どこの家でご馳走になっても個性的で、個性があるからこそどこの子どもも「うちのカレーが一番おいしいぞ」と自慢していたのだった。



『蓮月そば店』のカレーライス


店に入って間髪入れず「カレーライス!」と注文して出てきたのはまさしく昭和三十年代の家庭カレーで感動した。そういう懐かしさを知っていれば感涙ものの味なのだけれど、懐かしさは経験と一体なので、経験のない人とは感動を共有できない。妻もまたそういう経験に乏しく、あまり気乗りしそうにないので一人になるのを待ちかねて食べに来た。とろみが弱めで胃もたれのしない珠玉の昭和カレーだと思ったが他人に説明するのは容易でない。というわけで昭和三十年代の家庭カレーと聞いて「懐かしい!」と感動する世代以外にはおすすめできない。



池上本門寺石段


そんなわけで念願だった昭和三十年代の家庭カレーに再会し、声をあげて泣きたいような気持ちで完食し、ありがたいので池上本門寺にお参りしてお賽銭を上げ、元気に生きられた人生に感謝した。加藤清正が寄進したという見事な普請の96段ある石段を上り下りし、心身ともに満足して遠出のランチタイムを終えた。

【おまけ】



『蓮月そば店』店内。ボロいんじゃない、古いものを大切に使い守っているのだ。
 
コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« ▼散歩の拾いもの 【墓参りのつ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。