【不識】

2020年3月24日

【不識】

『禅の友』の4月号が郵便受けに届いていたのでページをめくったら今月の「禅の言葉」は「不識」で思わず「不織」に空目した。

インドからやってきたダルマに梁(りょう)の武帝が「お前さまはどなたかな」と尋ねたら「不識(知らん)」と答えたという。深い話である。「私」はダルマという名前で世間の人たちからダルマと呼ばれるものですと答えることはできても、ダルマと呼ばれるものの内側から生じている 〈私〉 がなにかを伝えるのは難しい。本質と実存。「〜である」と「〜がある」。

昨夜は地方出張帰りの人が読書会にやってきて、箱入りのサージカルマスクをテーブルにポンと置いて「マスクが必要な人はいますか?」と言う。出張先の地方都市では店頭で手に入るそうで、東京から来たのなら持っていけと言われてもらったという。それで「不織」に空目したのだろう。ウイルス感染禍は収束してほしいが、物の奪い合いはやめたい。

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