便秘と圧縮

|2013年1月17日| 

 

 風邪をひいて大量の汗をかくと便秘になる。あまりに長く便秘が続くと「(だいじょうぶかなぁ)」と心配になるけれど、お腹の爆発事故がないことでわかるように、排泄物は水分を取り除いてやると驚くほどコンパクトになるらしい。そしてたまに便意があったので喜ぶと出るのはただのオナラであり、脱水圧縮時には大量のガスが生成されるらしい。ということは腸内で生成される脱水圧縮済み排泄物というのは、水分を戻してやっても元の臭いウンチには戻らない非可逆的圧縮なのだろう。お腹の中は見えないので「らしい」と「だろう」が多くなる。

 昭和三十年代の静岡県清水、祖父母の家があった巴川上流は生き物で溢れかえった自然豊かな土地だった。そこに市のし尿処理工場ができ、毎日バキュームカーが市内で集めたし尿をピストン輸送で運んで来るようになった。自然豊かな環境に自然が強化され過ぎて生活環境ぶち壊しなのだけれど、文句や苦情が出なかったのは、家らしい家が祖父母の家くらいしかなく、工場が来たおかげでガス水道が引かれたという事情もあったようだ。

 し尿処理工場ではひっきりなしにやってくるバキュームカーが搬入するし尿を処理して茶色い肥料を作っていた。おそらく熱を利用して脱水乾燥処理していたようで、煙突から出る湯気とも煙ともつかないものはオナラの臭いがしていた。完成したコロコロ粒状の肥料はベルトコンベアで運ばれて円錐状の小山として積み上げられていた。頻繁にバキュームカーがやって来るのに肥料の山がたいして増えないのも、思っているほどには臭くなかったのも、圧縮率が高いせいと、ガス化による臭いのロス(ロスレス圧縮ではない)のおかげだったのかもしれない。

 脱水圧縮時にオナラが出るとわかっているなら、それはそれで利用法があるのではないかと思っていたが、最近になってもう自然豊かな往時の面影をとどめないし尿処理場あたりを歩いてみたら、鋼鉄製のパイプが引き出されており、オナラはガス資源として再利用されるようになっているらしい。自然は失われてしまったけれど、仕組みとしては自然な気がするのがし尿処理場の不思議である。

 

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