思えば、ジュディマリ時代から初期のソロに至るまで、彼女の歌には殆ど興味を持たなかった。
その認識を覆されたのは、シングル「ドラマチック」。
あのサビを聴いた瞬間に震えが走った。
あざとさと紙一重の超ポップなフックと圧倒的なオーラ。
こんなのアリか?!とすら感じた。
それからの彼女のシングルの出来は見事なモノで。でも、アルバムで纏めて聴いてみたいと思い、今の今まで待ち続けた。そして遂にリリースされたアルバム・・・
『WAVE』
断言します。超名盤!
モンスター級です。
何よりも、ヴァラエティ豊かな楽曲群と、それを表現するYUKIのヴォーカルの振り幅の広さが見事。
1曲1曲に細かなワザが効いている上に、それを凌駕するポピュラリティ。
まず、煌びやかなバックトラックに乗せて伸びやかなヴォーカルが弾ける「長い夢」でスタート。間奏のフルート、山本拓夫さんだったんだなぁ・・・今さらになって気づく(笑)
続けて、Chicagoの「サタディ・イン・ザ・パーク」風のイントロ&サウンドメイクが印象的な「メランコリニスタ」。ポップだけど、少し捻りの効いたサウンドプロダクションが心地イイ。
そして、大名曲「ドラマチック」。イントロから炸裂する“弦一徹ストリングス”のスリリングでグルーヴィなストリングス。流石、このテのストリングスは彼らの右に出るモノ無し。更に、サビに入る直前のフックとサビの強烈にキャッチーなメロディ。ドライヴ感溢れるヴォーカルと相まって非の打ち所が無い感じ。
4曲目は平野航のペンによる暖かいサビメロが染みるミドルチューン「裸の太陽」。やらかいヴォーカルも素敵です。
もう一つの大名曲「ふがいないや」は、ザックリしたギターリフに乗せて歌い出し、ハイハットが被さり、ドラムやピアノが重ねられていく毎にドライヴィンに突き抜けていくサウンドが強烈。ポップなメロディにロックなアプローチが最高の高揚感を生み出す。
アンビエント系の「バースディ」を挿んで、テクノ風味の「ヘイ!ユー!」へ。10カウントがキュート!!ブリッジに挿入される“ズンドコ節”っぽいフレーズ(笑)に思わずニンマリ。
CCRの様なアメリカンロックテイストの「あおぞら」では、ヴォーカルが意外とキュートでギャップにヤラれてしまう。藤井謙二のギターがイイ味出してます。
スキマスイッチ作曲の「You've got a friend」は、いかにもスキマ的メロディとジャグっぽいサウンドが見事にマッチ。間奏のハモンドっぽいソロも大好きです。ラストは、ちょっとゴスペルチック。
ゴスペル繋がりで「ユメミテイタイ」。カントリーゴスペル??みたいなサウンドメイクが新鮮に感じられるなぁ。
「ふがいないや」のカップリングだった「夏のヒーロー」。作曲はHARCO。情景が目に浮かぶヴォーカルとサビのメロディで泣きそうになります・・・
島田昌典のハモンドオルガンが更に郷愁を誘うんだなぁ。
ラストを飾るのは、弦一徹のゴージャスなストリングスに彩られたロッカバラッド「歓びの種」。YUKIのヴォーカルの力強さが見事です。
このアルバムを名盤たらしめたのは、偏に“agehasprings”のクリエイターの力量と言っていいかと。特に、シングルを作曲した蔦谷好位置とプロデューサーの玉井健二が、このアルバムにもたらしたモノは、この上なく大きい。
2006年のベストアルバムを選ぶ時、絶対に外せない1枚だと断言いたします。