森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

U出版・自費出版と商業出版の間 ー初めての裁判(2)

2016-10-02 07:39:36 | 原発・エネルギー

(2)雰囲気が変わる

私は、この出版形態であれば自著に対する権利は自分に強いと思いました。A氏はもの静かで腰が低く著者を立ててくれますから、これはかなりコントールできるような気になりました。一般には総ての資金的なリスクを負うがゆえに全所有権を持つ出版社が、本のタイトルをつける権利を持つと聞いていましたが、「プルトニウム消滅!」というタイトルは私がつけました。A氏は別の案を出しましたが折れ、このことからも私に権利が強いのだという認識を深めました。また、利益も6:4つまり総売上の50%の利益のうち、30%を著者の私が、20%を(株)S・Fが取るということになりました。制作費全額を著者が出したことを思うと利益折半では心情的に納得できないと、心持ちでも差をつけて欲しいと私から申し出たのです。

この辺りから何か、A氏の雰囲気が変わったように思います。

「30/20でいいですよ。その代わり今後発生する費用や労力も著者がみてください」

本の作成には、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞、日経新聞から新聞記事を引用し写真を借り、合計で相当の金額になりました。それも全部私が持ちました。前述のK先生に序文をお願いしました。まず熟読するので本のコピーを一部送ってください。自宅のパソコン用の小型プリンターで本1冊分全部刷りました。こんなこと著者がやることかと、制作者が業務用のプリンターで刷って送ってくれれば・・と思いました。

古くから懇意で廉価でやってくれる印刷会社を知っていたので、自著であることだしそこを使ってもらいたいと思いました。A氏にそれを話すと「いいですよ。ただし自分も長年やって安いところを知っているので双方から見積もりを出してもらって比べましょう」。A氏に会って話を聴いた私の知り合いの印刷会社が私に、A氏は印刷を私のところにさせる積りは全くない。ちょっと何かおかしく思うので気をつけた方がよいと忠告してくれました。

それから大変なことが起こりました。

ある日の朝、A氏から私の自宅に電話がありました。

「結論から先に言います。流通をお願いしていた出版社から、合意済みで契約の段階まで来ているのにいきなり断られました。これは商法上の信義に反するので、抗議と契約締結の再折衝を行います。一緒に来てください」

書籍を流通に乗せるには東西2か所の卸を通さねばなりません。A氏は卸へのルートを持たないので、それが可能な出版社に本の流通を委託するのです。その会社は卸に対してとても有力な出版社で、そこと契約にこぎつけたはずだったのです。その会社の契約には連帯保証人が2名必要であり、1名はA氏の兄が引き受けたけれども、もう1名がいない。A氏は私にそれを引き受けるよう言いました。私は、連帯保証人になることは非常に危険だと聞いていたのでとても嫌でした。「自分の本ですよ」「貴方の本を流通に乗せるための我々の共同作業なんですよ」と言われ、こんな場合は止むを得ないのかと思いました。

A氏の要望で、その出版会社の専務との折衝に同行しました。結局不調、喧嘩別れになりました。A氏が血相を変えて食ってかかったのを目の当たりにしました。なんでこうなるの・・?! いずれにせよ滅多にない一つの社会経験をしたと思いました。その専務は、少なくとも私の見るところ真っ当そうな人でした。名刺をいただいたので、後日電話して直接彼に会いに行きました。

「著者の貴方が、こんな保証人になるものではないですよ」。私の本も含まれるけれども、その出版社と(株)S・Fの契約書です。よく考えると、今後その出版社と(株)S・Fとの間で金銭的トラブルが生じた場合、自著とは係わりなく私が全く知らないこと総てを含めて私が保証する契約でした。私にとっては恐ろしい契約でした。

なぜその専務がこの話を断ったのか。

A氏と接してみて、この人とは仕事をやりたくないと思った。理由はそれだけでした。

流通は小石川の(株)S・Fの近くにあるT社が引き受けてくれました。T社は重要な社会問題に関する書籍も含めて、真面目な様々の書籍を出版しており、T社社長に会って私は大変好感を持ちました。

既に半額の50万円をA氏に支払い、覚書を結んで制作を始めていたので止める事は考えませんでした。現状をよく踏まえ私が窮地に陥らないようにどれだけやれるか、それが私に課せられた社会勉強だと考えました。

本ができればA氏に入ります。利益はT社からA氏に流れます。A氏から私にその3/5が来るわけです。そうするとA氏が例えば販売促進用の資金だとか、増刷用の資金だとか、あれこれ理由をつけて私に送金しなければいいんです。いくら自分の取るべき正当なお金だって暴力で奪いに行くことはできません。A氏が私に約束の分を支払わない場合は、結局私は泣き寝入りになります。これでは負けだと思いました。私が残りの50万円を支払う前に、利益はT社で著者と(株)S・Fに分割し、T社からそれぞれに直接送金するよう交渉しました。T社はA氏さえ合意すればそれは問題ないとのことでした。私に渡す分である以上、どちらからもらおうと違いはないはずだ。そうしなければ私は残りの資金を支払わないと言ったら、A氏は渋々承知しました。これで私の取り分はA氏を通すことなく、T社から私への直送となりました。まず一勝です。

そして数年が過ぎ、“熔融塩炉”は社会の脚光を浴びることもなく、とりたてて大きな話題にもならず、私の本も売り上げは伸び止まってしまいました。私としては、自分の生き様を描いた大事な本です。本が売れても売れなくても手元に置きたいし自分の考えを分かってもらう一つの手段として有用です。A氏が覚書を解除するのなら残部は返してもらいたいと思いました。

ところが、A氏は著者に一言の相談もなく、相談どころか知らせることもなく残部を売り払ってそのお金を自分の懐に入れていたのです。それは、裁判に訴えての事実経過についての論述の中で、言葉が二転三転しながらA氏の口からそれが出ました。

”エエッー!!

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