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シュラウドからの手紙


■旧暦2月21日、金曜日、

(写真)旅・自転車とともに

今日は、午前中、施設への往診の医師の手配やケアマネとの連絡、福祉用具のレンタル会社との調整など。午後、買い物。水がやはりない。フランス産の硬水しかないので、しかたなく、買って帰ってお茶を入れたが、てんで、話にならない。



昨日、詩人の鈴木比佐雄さんと電話で話した。鈴木さんのルーツは、福島原発のある町にある。ぼくは、鈴木さんから、非常に多くを学び、その詩的持続力や反復力、息の長い仕事ぶり、温厚さなどに、敬意を抱いてきた一人である。ひそかに、それは東北の血なのかもしれないと思ってきた。その美しい故郷は、完全に破壊され汚染された。

福島原発の問題は、大地震、津波、余震に加えて、現在進行中の深刻な問題であり、これは、こと、東電1社の問題ではなく、エネルギー産業をめぐる全体利権構造の問題(地域独占電力会社、協力企業、政府、官僚、原発メーカー、銀行、マスコミ、学界など)として考えるべきだろう。そして、その問題を考えることは、その全体構造に、無関係では済まないわれわれの自己批判も含まれるはずである。利害関係者として、あるいは、電力消費者として。さらに、原発の問題は、エネルギー問題や核兵器といった地球的な問題と地続きと言えるのである(まさに、ここで、「領土」が問題化し、「国家」が問題化している)。

鈴木さんは、2003年の時点で、次のような、予言的な詩を書いている。




シュラウドからの手紙


                                   鈴木比佐雄




父と母が生まれた福島の海辺に
いまも荒波は押し寄せているだろう
波は少年の私を海底の砂に巻き込み
塩水を呑ませ浜まで打ちあげていった

波はいま原発の温排水を冷まし続けているのか
人を狂気に馴らすものは何がきっかけだろうか
検査データを改ざんした日
その人は胸に痛みを覚えたはずだ
その人は嘘のために胸が張り裂けそうになって
シュラウド(炉心隔壁)のように熱疲労で
眠れなくなったのかも知れない

2000年7月
その人はシュラウドのひび割れが
もっと広がり張り裂けるのを恐怖した
東京電力が10年にわたって
ひび割れを改ざんしてきたことを内部告発した
2年後の2002年8月 告発は事実と認められた


私はその人の胸の格闘(ひびわれ)を聞いてみたい
その良心的で英雄的な告発をたたえたい
そのような告発の風土が育たなければ
東北がチェルノブイリのように破壊される日が必ず来る
福島第一原発 6基
福島第二原発 4基
新潟柏崎刈羽原発 3基
13基の中のひび割れた未修理の5基を
原子力・保安院と東京電力はいまだに運転を続けている
残り8基もどう考えてもあやしい

国家と電力会社は決して真実を語らない
組織は技術力のひび割れを隠し続ける
福島と新潟の海辺の民に
シュラウドからの手紙は今度いつ届くのだろうか
次の手紙ではシュラウドのひび割れが
老朽化した原発全体のひび割れになっていることを告げるか

子供のころ遊んだ福島の海辺にはまだ原発はなかった
あと何千年たったらそのころの海辺に戻れるのだろうか
未来の海辺には脱原発の記念碑にその人の名が刻まれ
その周りで子供たちが波とたわむれているだろうか



■シュラウドに、熱疲労による、ひび割れがはじめからあったとすれば、レベル5の汚染ではすまない。各地の放射線データに注目する必要がある。
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3月24日(木)のつぶやき

00:07 from web
afterquakes/ from the sea// spring cold #haiku #poetry #fhaiku
01:04 from web
RT @itokenstein: 東電は今日の会見でPuについての線量を明示しませんでした。明日それについて言及があるようにも。今私が学生の有毒物質誤報的なツイートに注意などしたのは(大人なら黙ってブロックして終わり)明日の発表にかなり神経を使っているからです。水道水中の ...
by delfini_ttm on Twitter
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一日一句(64)






春の水奪いあう日が来ようとは













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