
“ボカロ”知っていますか。俺はほとんど知りませんでした。VOCALOID(ボーカロイド)と初音ミク。どんな関係なのか全然わかっていなかったんです。ただ、5月位に人を介してにこにこ動画で色々と仕事をしている方と知り合って、そのときに現状を少し教えてもらったんです。その時やっと存在を意識したんです。その後、偶然目にしたネットのニュースで”ボーカロイド、次バージョンでは中国語と韓国語をサポート”というのを見かけました。“アジア進出か、凄いね~”なんて言ってました。
丁度そんな頃に宝島社でエディターをなさっている鮎川ぱてさんから連絡をいただきました。以前知人に紹介されて面識だけはあったんです。今度ボカロ関係の本を出版することになったので、ついてはその本に同梱するCDのマスタリングをして欲しい、というのがその電話の内容でした。先の“アジア進出”の話題もあったので、こりゃ、知るにはいい機会、渡りに船だと思いました。実際のところ、ニコ動などに行ってボカロミュージックを聴くのはなんとなく気が乗らなかったのです。それが、これにて仕事になったわけで俄然モチベーションが上がりました。
話があってからマスタリングまでは作家さんたちの制作期間ということで2ヶ月ほどありました。その間、全く別の現場で仮歌をお願いした学校で歌の先生をやっているシンガーに”私の生徒は100%ボカロやっていますよ”と言われて驚いたりしました。その時にこんな興味深い話も聞きました。
今の中高生も(ボカロとかPCだけじゃなくて)ギターとかも買いに行ったりするんですよ、興味を持って。でも昔と違ってそういういわゆる軽音楽に関してお父さんとか理解があるじゃないですか。昔だったら不良になるとか言って反対されたものだったのに。それでお父さんと一緒に楽器屋に行ってギターを選んだりすると店員よりお父さんのほうが詳しかったりする。弾いてみると結構さまになっていたりする。それはそれですごく格好いいし、それを受け入れないというわけじゃないけれど、結局今までのポピュラー楽器っていうのは既に大人のものなんですよ。大人の文化、自分たちの文化じゃないんです。でもPCの中で行われるボカロに関しては自分たちの文化なんですよね。大人は知らないし、触れたこともない。当然したり顔で語られたり、上から目線で見られたりすることもない。それが凄くいいみたいなんです。
なるほどな、って思いました。確かに自分も中学・高校の頃って”大人なんかに何がわかるんだ”って事あるごとに思ってましたから。それは別に”理由なき反抗”っていうか、“この面白さは大人にはわかんないよな”っていう単純な価値観の相違やジェネレーションギャップなんだろうけど。そんなのが自然にありました。最近良くある親と子供が同じ趣味で仲良く価値を共有していくっていうのは微笑ましいし、憧れ無いこともないんです。しかし、そんな時代を過ごしていない”昭和な俺”には不自然に見えてたんですよ。友人から”娘が口聞いてくんないんだよ~”なんて聞くとそりゃそうだろうよ、と思うわけです。ジェネレーションギャップ、あっていいじゃないかと。あって当たり前じゃないかと。そう思うと、へーボカロ、いいじゃん、みたいな。オレにはわかんないけどさ、みたいな。妙に感心してしまいました。
マスタリングは音響ハウスの石井亘くんにお願いしました。音響ハウスって、いまはアニメとかゲームの仕事を凄くやっているんです。アキバも近いし業界では”聖地”って言われているんです。だから・・・というふざけた理由ではありません。今回、最初に思ったのは名うての”P”達がDTMで作ってくる音源は普段の仕事じゃじゃ考えられないようなものすごい掟破りな仕上がりで上がってくるんじゃないかという予想があったんです。複数の”P”達によるそんな作品群をマスタリングで手を加えてしまっていいものなのかを考えました。要は、歌レベルだけは合わせて後は極力何もやらない。レベルを合わせた時に作者の意図と違う方向に行ってしまっていると感じたら、そうならないギリギリのところに留める。そんなやり方が一番面白いんじゃないかと思ったわけです。ところが鮎川ぱてさんに取材していただいた所、皆さん一様に“プロの方に手を入れていただきたい!”ということだったのです。ちょっと意外でした。
当日は様々な作品に触れることが出来て、興味深かったですね。ぱてさん絶賛の「初音ミクの喪失」。正直、そこまで衝撃受けられない感覚麻痺気味の自分に焦りました。その他、他者で既にリリースもされている有名曲や、ティーンエイジの作品(これが良い曲!)や、衝動だけで組み上げてしまったようなそれ故独特の世界観を展開しているものまで。これって、アレンジ凄くない?って言ったら“その方はそれなりの教育を受けてらっしゃいます”などと言われて妙に納得したり。実際マスタリングルームに入るまでは鮎川ぱてさんも、ニコ動での視聴状態を意識なさっていたんだけれど、部屋でP(作者)たちの熱い想いの入った作品を聞いて今回は通常のCD、J-POPやROCKと同じ土俵で勝負できるようなマスタリングにしてください!とこれまた熱い指示。今時スピーカーで聴く人がどれだけいるのかはわからないけれど、きちんと家のオーディオで聴けるものを目指してマスタリングをしました。
鮎川ぱてさんが企画・編集した「ポップ・ザ・初音ミク☆」は宝島社より絶賛発売中です。もちろん、上記に上げたCD同梱です。小室哲哉さんやホッピー神山さんとボカロPさんたちの対談も入った豪華版。30代40代の“ボカロ”や“初音ミク”を知らない人に入門本として是非読んで欲しいとのことです。56歳の笹路正徳も読みました!!お勧め本です。また、鮎川ぱてさんはWEB SITE 週アス+でも「初音ミク 4周年記念 未来の音楽夜話」という連載が始まってます。Twitterでもつぶやきつつたまに突発オフ会もやってるみたいです(今度参加してみようかな)。
さて、皆さん、ボカロミュージックを楽しめるかな?因みにこの本の表紙、俺は本屋で抵抗なく手にとることは出来ません。でも抵抗ない人(たとえば笹路アシスタントの湯沢青年やアヤド家のISAくん)にはむしろ手に取りやすいようです。表情が輝いていました。ここで年齢がわかる!!踏み絵でもあります(CD入っているんで絶対踏まないでください)。
丁度そんな頃に宝島社でエディターをなさっている鮎川ぱてさんから連絡をいただきました。以前知人に紹介されて面識だけはあったんです。今度ボカロ関係の本を出版することになったので、ついてはその本に同梱するCDのマスタリングをして欲しい、というのがその電話の内容でした。先の“アジア進出”の話題もあったので、こりゃ、知るにはいい機会、渡りに船だと思いました。実際のところ、ニコ動などに行ってボカロミュージックを聴くのはなんとなく気が乗らなかったのです。それが、これにて仕事になったわけで俄然モチベーションが上がりました。
話があってからマスタリングまでは作家さんたちの制作期間ということで2ヶ月ほどありました。その間、全く別の現場で仮歌をお願いした学校で歌の先生をやっているシンガーに”私の生徒は100%ボカロやっていますよ”と言われて驚いたりしました。その時にこんな興味深い話も聞きました。
今の中高生も(ボカロとかPCだけじゃなくて)ギターとかも買いに行ったりするんですよ、興味を持って。でも昔と違ってそういういわゆる軽音楽に関してお父さんとか理解があるじゃないですか。昔だったら不良になるとか言って反対されたものだったのに。それでお父さんと一緒に楽器屋に行ってギターを選んだりすると店員よりお父さんのほうが詳しかったりする。弾いてみると結構さまになっていたりする。それはそれですごく格好いいし、それを受け入れないというわけじゃないけれど、結局今までのポピュラー楽器っていうのは既に大人のものなんですよ。大人の文化、自分たちの文化じゃないんです。でもPCの中で行われるボカロに関しては自分たちの文化なんですよね。大人は知らないし、触れたこともない。当然したり顔で語られたり、上から目線で見られたりすることもない。それが凄くいいみたいなんです。
なるほどな、って思いました。確かに自分も中学・高校の頃って”大人なんかに何がわかるんだ”って事あるごとに思ってましたから。それは別に”理由なき反抗”っていうか、“この面白さは大人にはわかんないよな”っていう単純な価値観の相違やジェネレーションギャップなんだろうけど。そんなのが自然にありました。最近良くある親と子供が同じ趣味で仲良く価値を共有していくっていうのは微笑ましいし、憧れ無いこともないんです。しかし、そんな時代を過ごしていない”昭和な俺”には不自然に見えてたんですよ。友人から”娘が口聞いてくんないんだよ~”なんて聞くとそりゃそうだろうよ、と思うわけです。ジェネレーションギャップ、あっていいじゃないかと。あって当たり前じゃないかと。そう思うと、へーボカロ、いいじゃん、みたいな。オレにはわかんないけどさ、みたいな。妙に感心してしまいました。
マスタリングは音響ハウスの石井亘くんにお願いしました。音響ハウスって、いまはアニメとかゲームの仕事を凄くやっているんです。アキバも近いし業界では”聖地”って言われているんです。だから・・・というふざけた理由ではありません。今回、最初に思ったのは名うての”P”達がDTMで作ってくる音源は普段の仕事じゃじゃ考えられないようなものすごい掟破りな仕上がりで上がってくるんじゃないかという予想があったんです。複数の”P”達によるそんな作品群をマスタリングで手を加えてしまっていいものなのかを考えました。要は、歌レベルだけは合わせて後は極力何もやらない。レベルを合わせた時に作者の意図と違う方向に行ってしまっていると感じたら、そうならないギリギリのところに留める。そんなやり方が一番面白いんじゃないかと思ったわけです。ところが鮎川ぱてさんに取材していただいた所、皆さん一様に“プロの方に手を入れていただきたい!”ということだったのです。ちょっと意外でした。
当日は様々な作品に触れることが出来て、興味深かったですね。ぱてさん絶賛の「初音ミクの喪失」。正直、そこまで衝撃受けられない感覚麻痺気味の自分に焦りました。その他、他者で既にリリースもされている有名曲や、ティーンエイジの作品(これが良い曲!)や、衝動だけで組み上げてしまったようなそれ故独特の世界観を展開しているものまで。これって、アレンジ凄くない?って言ったら“その方はそれなりの教育を受けてらっしゃいます”などと言われて妙に納得したり。実際マスタリングルームに入るまでは鮎川ぱてさんも、ニコ動での視聴状態を意識なさっていたんだけれど、部屋でP(作者)たちの熱い想いの入った作品を聞いて今回は通常のCD、J-POPやROCKと同じ土俵で勝負できるようなマスタリングにしてください!とこれまた熱い指示。今時スピーカーで聴く人がどれだけいるのかはわからないけれど、きちんと家のオーディオで聴けるものを目指してマスタリングをしました。
鮎川ぱてさんが企画・編集した「ポップ・ザ・初音ミク☆」は宝島社より絶賛発売中です。もちろん、上記に上げたCD同梱です。小室哲哉さんやホッピー神山さんとボカロPさんたちの対談も入った豪華版。30代40代の“ボカロ”や“初音ミク”を知らない人に入門本として是非読んで欲しいとのことです。56歳の笹路正徳も読みました!!お勧め本です。また、鮎川ぱてさんはWEB SITE 週アス+でも「初音ミク 4周年記念 未来の音楽夜話」という連載が始まってます。Twitterでもつぶやきつつたまに突発オフ会もやってるみたいです(今度参加してみようかな)。
さて、皆さん、ボカロミュージックを楽しめるかな?因みにこの本の表紙、俺は本屋で抵抗なく手にとることは出来ません。でも抵抗ない人(たとえば笹路アシスタントの湯沢青年やアヤド家のISAくん)にはむしろ手に取りやすいようです。表情が輝いていました。ここで年齢がわかる!!踏み絵でもあります(CD入っているんで絶対踏まないでください)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます