前回ミルコさんの本の中に登場、小川洋子さん、つながり。
この不思議なタイトルからは想像がつかなかったが、題材はチェス。どこまでもチェスだ。
リトルアリョーヒンと呼ばれた少年のチェスへの思いの深さを知るに連れて、このタイトルが
じわじわと浸透してくる。
おじいさんとおばあさん、弟。
ミイラとインディラ。
バスとポーンとマスター。
老婆令嬢とマンションエチュード。
どの場面を思い起こしても、少年の人生にぴったり寄り添う風景が浮かぶ。
「ことり」でもそう感じたのだが、さびしいけれど、あたたかな「死」が漂う物語が本当に
上手だなあ、と思う。
なによりも好きなのは、マスターが住んでいる場所が動かないバスの中、というところ。
狭いバスの中に漂うお菓子の香り、日射し、チェステーブルと角の取れた駒、すべてが
しっくりくる。
そしてマスターを想像するとき、自然と思い浮かべるのがハリーポッターに出てくる
ハグリットさんだ。
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