生前、チャップリンへの敬愛を示していた手塚治虫。
あんど、題材がヒトラー、という今回は濃いつながり。
文庫バージョンで全5巻。一気読み。
物語の最初から最後までカギを握るヒトラーの出生に関する機密文書。
その所在だけに焦点を当てて整理してみる。
ユダヤ人彫刻家がワグナーの石膏5セットを作り、その一つに機密文書を隠す。
↓
そのうちの一つ(中身はカラ)が本多幸(反軍国主義・芸者・スパイ)の手元へ。
文書入りの石膏を手に入れたのは峠草平の弟、峠勲。
それに気が付いた勲は日本の恩師小城先生に郵送後、本人抹殺される。
日本で文書は峠草平に渡される。
↓
峠草平はそれを死守するが、特高の赤羽に取られる。
峠・仁川・赤羽・ランプ・小城先生兄・小城先生が若狭で決闘の末、
文書は再び小城先生のもとへ。
↓
小城先生は文書を教え子、アドルフ・カミルに預ける。
しかし身が危なくなった二人は自殺した桑山先生の残した暗号を解き、
「文書をラムゼイに渡すこと」を目的に動き始める。
↓
その手段としてスパイの本多幸の甥に文書を渡すことに成功。
彼は自宅庭に文書を埋めた後、父親に殺されてしまう。
↓
まだ文書が存在することを知ったランプがアドルフ・カウフマンに
取り戻しに行かせるが、彼が本多邱の庭で文書を発見したとき、
ヒトラー死亡のニュースが入る。
この文書の所在とともに、関わる人間の人生も振り回され、
とても重大な「機密」であったはずの文書は、ヒトラーの死により
ただの紙切れとなる。
注目すべき残りの二人のアドルフのその後の人生のテーマは「復讐」だ。
幼い頃人種による差別をあれだけ憎んでいたアドルフ・カウフマンが、
エリート校、ヒットラーユーゲントに入ってから見せた変化は、
少し前に読んだ「約束された場所」をところどころ思い出させた。
自分は違うんだという優越感、正義のため(という名のもと)なら手段
選ばず、自分を高めてくれる存在に対する忠誠心と依頼心・・・
人間は自分が正しい、と思ったことに対する思いが強くなればなるほど
その枠から外れた人間を簡単に排除しようとする、のかもしれない。
この作品の中で、描いて欲しかったシーンがある。
それは峠草平が抹殺された弟のためにあれだけ奔走していたのに、
文書を本多に託した途端、彼の突然の死、という事件後も文書について
彼が一言も語っていないのだ。せめてどんな風に自分の中で折り合いを
つけたか、というような場面があってもいいのではないかしら。
それにしても読みごたえのある、刺激的な作品だった!
あんど、題材がヒトラー、という今回は濃いつながり。
文庫バージョンで全5巻。一気読み。
物語の最初から最後までカギを握るヒトラーの出生に関する機密文書。
その所在だけに焦点を当てて整理してみる。
ユダヤ人彫刻家がワグナーの石膏5セットを作り、その一つに機密文書を隠す。
↓
そのうちの一つ(中身はカラ)が本多幸(反軍国主義・芸者・スパイ)の手元へ。
文書入りの石膏を手に入れたのは峠草平の弟、峠勲。
それに気が付いた勲は日本の恩師小城先生に郵送後、本人抹殺される。
日本で文書は峠草平に渡される。
↓
峠草平はそれを死守するが、特高の赤羽に取られる。
峠・仁川・赤羽・ランプ・小城先生兄・小城先生が若狭で決闘の末、
文書は再び小城先生のもとへ。
↓
小城先生は文書を教え子、アドルフ・カミルに預ける。
しかし身が危なくなった二人は自殺した桑山先生の残した暗号を解き、
「文書をラムゼイに渡すこと」を目的に動き始める。
↓
その手段としてスパイの本多幸の甥に文書を渡すことに成功。
彼は自宅庭に文書を埋めた後、父親に殺されてしまう。
↓
まだ文書が存在することを知ったランプがアドルフ・カウフマンに
取り戻しに行かせるが、彼が本多邱の庭で文書を発見したとき、
ヒトラー死亡のニュースが入る。
この文書の所在とともに、関わる人間の人生も振り回され、
とても重大な「機密」であったはずの文書は、ヒトラーの死により
ただの紙切れとなる。
注目すべき残りの二人のアドルフのその後の人生のテーマは「復讐」だ。
幼い頃人種による差別をあれだけ憎んでいたアドルフ・カウフマンが、
エリート校、ヒットラーユーゲントに入ってから見せた変化は、
少し前に読んだ「約束された場所」をところどころ思い出させた。
自分は違うんだという優越感、正義のため(という名のもと)なら手段
選ばず、自分を高めてくれる存在に対する忠誠心と依頼心・・・
人間は自分が正しい、と思ったことに対する思いが強くなればなるほど
その枠から外れた人間を簡単に排除しようとする、のかもしれない。
この作品の中で、描いて欲しかったシーンがある。
それは峠草平が抹殺された弟のためにあれだけ奔走していたのに、
文書を本多に託した途端、彼の突然の死、という事件後も文書について
彼が一言も語っていないのだ。せめてどんな風に自分の中で折り合いを
つけたか、というような場面があってもいいのではないかしら。
それにしても読みごたえのある、刺激的な作品だった!
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