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シーア派三日月地帯もGIUKも、もうワヤですわ

2017-11-26 15:51:57 | アジア情勢複雑怪奇

マスコミに載らない海外記事さんが、タイムリーな記事を翻訳されていた。リンクさせていただきます。

‘トルコとの関係悪化と失敗したシリア政策修復を狙ってクルド人を裏切るアメリカ’

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-a083.html

 

ロシア・イラン・トルコが共同で事態解決に向けますという姿勢を顕著にアピールしている中、アメリカができることは、まずトルコにアプローチすることというのは誰でもわかる。しかも、トルコはイドリブ県という、西側マスコミ的にいう「反政府勢力」、含むアルカイダ、という人たちが現在のっとっている場所を管轄している。

今後の展開としてここの勢力をどうするのか、というのはシリア問題におけるダークな部分でしょう。だって西側の子分たちなんですもの。日本の自衛隊出身の国会議員のおっさんも、焦点はイドリブですねぇとかぬかしてましたね。つまり、あんたはアルカイダの友達なんだなと私は思いましたが。

で、それはそれとして、しかしながら、ここを動かしてもう一戦などということはちょっとできそうにない、いくらアメとしても。イスラエルをおもんぱかって、いやいや、まだまだ、とか日本のある国会議員なら言いそうだが。

基本的に、現状は、

“シリアで起きているのは、基本的にアメリカ外交政策の失敗なのです。ワシントンは、宗教狂信者連中支援で、サウジアラビアと組んだのです。ところが、ロシアとイランと、レバノンのヒズボラの介入で、これら勢力がいわゆる「イスラム国」を打ち破り、宗教狂信者連中が負けたので、アメリカ政策は、現在、失敗した政策の代替策を見出そうとして必死の努力をしているのです” 歴史学者のジェラルド・ホーンは説明する。

で、その一つの方策として、今後はクルドに支援しないから、といってトルコとの交渉を開始しているところ。

で、その失敗のスケールがどのぐらいのものかというと、過去20年かそこら、中東にシーア派の三日月地帯を作らせてはならない、とか言っていた、まさにそれが現実になったと見てみると、なかなか惨い失敗だったことがより鮮明になるでしょう。

つまり、イラン、イラク、シリア、レバノンが、敵対勢力なしでつながった、ということですね。

だからといって、別に今すぐ何か不穏なことが起こるわけでもない。が、しかし、象徴的には、そしてポテンシャリティーとしては結構なもんがありますね。

そして、イランもそう言いたいのだろうかというのが、このニュースではなかろうか。

イラン海軍がメキシコ湾を目指すつもりだ、と言っている。

Iranian warships to head for Gulf of Mexico 
Published time: 23 Nov, 2017 17:01 
https://www.rt.com/news/410778-iranian-navy-gulf-of-mexico/

 

これは数年前にも出たことがあるし、だからなんだと言ってしまえばそれまでというところもあるし、そもそもイランの目の前の海に地球の反対側から米軍が来て、お前(イラン)は攻撃的だとか言っているという、漫才みたいな状況に対する、突っ込みだなと言ってもいい。

が、それだけなく、パワープロジェクション(力の投影)としては無視できないものがあるかも、など思って、私としては面白く思った。

まず第一に、どっちからメキシコ湾に行くんだろうと思って読むと、大西洋だという。

ということは、シリアに寄港して地中海、ジブラルダルを通って大西洋に出るわけでしょ。

そうなったら、ぜひロシア海軍さんには、同時に、イギリスの北あたりを通って、そして、大西洋に出るあたりでイラン海軍に合流してほしい(笑)。

どんな図を思い浮かべているのかというと、これ。

これは、GIUKギャップと呼ばれるものの図。イギリス、アイルランド、グリーンランドが並んでいる、その間を通らないと、北方勢は大西洋に出られない。

だから、イギリス海軍の役割は常にここをコントロールすることにある。

一方、地中海側では、大西洋への出口にあたる狭い海峡であるジブラルダルに居座り続けているため、地中海勢が大西洋に出る時にはイギリス海軍は妨害できる。

この2つと、イギリスとフランスの間のイギリス海峡の3つを閉鎖できるぜというのがイギリスの海軍力の強さの源泉とされてきた。これは空域支配にもつながるから海だけではない。

で、ドイツもソビエトもそれに苦労をしていたと言って一応いいんでしょう。

GIUKギャップ

コラ半島を基地として作戦するソ連北方艦隊の潜水艦が、大西洋に出ようとする際の唯一の出口となるため、GIUKギャップは1950年代に、再び海軍の作戦計画の中心となった。アメリカ合衆国とイギリスの戦後の海軍戦略の基礎は、GIUKギャップを封鎖することにおかれ、SOSUSとして知られる一連の水中聴音機の設置なども行われた。これは、冷戦が「熱い戦争」になった場合、ソ連潜水艦が北大西洋で作戦することを許せば、アメリカからヨーロッパに送られる増援用船団が、看過し得ない被害に直面すると懸念されたからである。

で、だからこそソビエトは、地中海側のプレゼンスを守ってはいたが、なお、極東側と北極海側を開発して封鎖を回避する体制を作っていったのでしょう。ミサイル体制も対・封鎖ともいえるし、部分軌道爆撃システム(FOBS)なんかも、どうやって包囲を打ち破るかという考え方の極限のような気がする。これが最近のサルマト(R-28)が対応しているんじゃないかと言われているのも興味深い。つか、怖い。

多分これも一極支配妄想のツケ:技術編

 

そっちはともかく、全体としてみて、現状一番負けたなぁという感じなのはイギリスなのではあるまいという話なわけですよ。イギリスといっても英国民の生活の話じゃなくて、イギリスを中心とした一部グループが仕掛けて来た、海洋からの圧迫とそれの理論化(プロパガンダ化)が破れ、したがってそれに依拠して書いてきた(書かせてきた)ジャーナリズムなるグループの言っていることが、ワヤになってますがな、という感じじゃなかろうか。

つまり、海峡封鎖したり、彼らが敵認定した国が動けないようにしたり、重要地点にはミニ傀儡国家みたいなのを作って影からコントロールしたりすることで彼らは優位性を保つ、というのが基本。どこにも自由などない。あるのは彼らにとっての、もっと言えば彼らを支える資本にとっての自由貿易こそ目標みたいな感じでしょうね。

このやり方が、根本的にワヤになってる、控えめに言っても修正が迫られていると思うのね。

もちろんそれは、中国とロシアが内陸でくっつき、内陸側に流路を作って資源と資本を流す構想を具現化したことがなんといっても大きい。イランもこれに賛同していることも特大に大きい効果だった(特にロシアとイラン両方を強化することになった)。

しかし、それだけでもない。やっぱり海上支配→空域支配を絶対化させないための航空戦力の充実、わけてもミサイルの存在も大きいと思うなぁ。

が、しかし、思えばこれはすでに冷戦時代に、わかる人にはわかる程度には明白だったんだと思うんですよね。FOBSとか防げそうにないんだし。だから、米ソの軍のエライ人たちが、冷戦終結後互いを称えていたというのは嘘じゃないんだと思う。もうこんなことは終わりにしたいと思った人はいたということだし、よく耐えたなとも思ったでしょう、お互い。

ところが、懲りない人たちがいて、また戦いモードを作ろうとした。が、やっぱり同じように無駄となり、それどころか、今回は、それだけはやらせたくないと思っていた内陸側からの開発が本格化してしまった、というのが現在かな、と。しかも、三日月地帯込みで。

 

そう考えると、これを思い出さないわけにはいかない。亡くなったロシアのチュルキン国連大使の2017年2月の発言。

チュルキン大使はさらにライクロフト英大使に対して反論し、「フォークランド諸島を返しなさい。ジブラルタルを返しなさい。あなたがたが海外領土としているキプロスの一部を返しなさい。インド洋上であなたがたが巨大な軍事基地を展開するチャゴス諸島を返しなさい。そうすればあなたがたの良心もひょっとすると多少は洗われて、他の議題を批判することもできるようになることでしょう」とやり返した。

https://jp.sputniknews.com/russia/201702033304233/

「ジブラルダルを返してみなさい」by チュルキン国連大使

 

で、現在、イギリスのメイ首相が異常なロシア叩き、プーチン叩きをして、半分あきれられている状態なんだが、これはやっぱりそういうことなんだろうなぁとか思ってみてしまう。ほとんど、あばずれ女が酔っぱらって息巻いてるみたいな恰好でスピーチしてて、驚いた。

Theresa May: "UK will fight to end Russian hostility"

そんなこと言ったって、メディアがホワイトヘルメットをいくらヒーローにしようとしたって地上の事実は消せないのと同様まったく何の効用もないんだが、勝手にやってる。別にメイが思いついたんじゃなくて、メイはそうせざるを得ないってことなんだろうが、酷いものですわ、ほんと。クリントンとまったく同じ軌道で騒いでいるのも興味深い。

 

で、やや遠い話をすれば、最初に全地球を見通した人たちが、この世界を俺らのものにしようとしたというのはわからんでもないですが、その中でもとりわけ、その人たちの「思い込み」を支えているのは、この、「大西洋は俺の海」構想なんだと思うわけですよ。それによって欧州を抱え込んでいるような発想をしている。

が、そこが「自由の海」になるのなら、もはや「大西洋は俺の海」思想は崩れる。すなわち、北大西洋同盟(NATO)の無効化につながるのではないのかなどとも愚考する。そう、NATOというのはイギリスの防衛思想の体現なんじゃないですかね。

 

というわけで、イラン海軍さんにはぜひ頑張ってもらいたい。この発言を、アメリカメディアというよりイギリスメディアが騒いでいたのは、やっぱり感じるところがあるんだなぁとかも思った。ああ面白い。

 

話がバラバラだけど、ロシアが黒海を貿易の正面に据えようとしているように見えると前にも書いたけど、始終ソチで会議をしているところをみても、やっぱり黒海・地中海を誰かの海にせず交易の動線内に取り込んだのは、NATOという思想の無効化が含まれていたのではないかなどと思ってしまう。

対ロシア制裁と黒海・地中海

 

地中海は、つい何百年か前まで、こういう人たちの海だったわけですからね。勝手に北の方のヨーロッパ人のものみたいするなよ、と考えるのはひとりロシアだけではない、といってもいいんじゃなかろうか。

 その前、こっちが6世紀ごろのいわゆるビザンチン帝国


 

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『イギリス海軍裏を欠いたエムデン号通商破壊戦第一次世界大戦において、主にインド洋方面で冒険的な通商破壊戦を行う』 (ローレライ)
2017-11-27 06:15:44
『イギリス海軍裏を欠いたエムデン号通商破壊戦第一次世界大戦において、主にインド洋方面で冒険的な通商破壊戦を行う』エムデン(SMS Emden)
エムデンは、ドイツ帝国海軍のドレスデン級小型巡洋艦の1隻。艦名はエムス川沿いにあるドイツの街、エムデンによる通商破壊はインド洋の連合軍通商航路に大きなパニックを巻き起こした。商船の戦時保険料が急騰し、多くの船舶が出港を見合わせた。www6.plala.or.jp/gunwales/EmdenTOP01.html

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