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今は食べるのに困る家はない & 二度目は茶番

2018-06-26 22:52:53 | アジア情勢複雑怪奇

昨日、明日の日本を考えて苦闘してた1945年の若者の話を書いたけど、

現在の政治の中枢は

 自民党の二階俊博幹事長は26日、東京都内で講演し、少子化問題をめぐり「この頃、子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べた。「みんな食うや食わずの戦中・戦後の時代に『子供を産んだら大変だから、産まないようにしよう』と言った人はいない」とも語り、「子供をたくさん産み、国が栄え、発展していく方向にしよう」と呼びかけた。

 貧困問題に関しては「今は食べるのに困る家はない。こんなに素晴らしい、幸せな国はない」と述べた。

https://www.sankei.com/politics/news/180626/plt1806260029-n1.html

だそうですよ。

 

まぁ一般の兵士には玉砕を強いておきながら、あるいは特攻に出たら最後帰ってくるなどあり得ないとかぬかしながら、指導層は、「国体」は大丈夫なのかとアメリカ様がOKしてくださるまで降参なんかできないというあからさまな保身に走り(口で言ってたことはなんであれ)、軍は軍で自分だけ逃げちゃう将軍が出る始末という体制を永続させた効果があるというものではなかろうか。

また富永か & たたなづく世迷いごと

 
と、ひとくさり書いてはみるものの、しかし、この発言も問題だが、日本人の多くの反応もまた問題だなぁとか思う。
 
与党の政治家に、政治の中枢の人々がこれでは困ります、みたいな反応をする人多いでしょ?
 
それは確かにそうなんだけど、政党というのは政策があって、それを支持する人たちがいて成り立つことから考えると、要するに自民党はこういう党だろ、と考えるべき。
 
で、それではマズイと思うのなら、そこに修正を迫るような党を持たないとならない。
 
でも日本国民はそういう考え方をするんじゃなくて、自民党様にはもう少ししっかりしていただきたい、と発想する。
 
これは王に求める態度であって、政党とそれを主体とした政権に求めるものではない。
 
 
と、そこで思い出すのは、片山先生と島薗先生のおっしゃる、福祉が天皇からの下賜のものとして扱われてた時代のお話。
 
日露戦争で足を失った人が、天皇から義足をいただく。今の感覚からいえば社会福祉的な支援が圧倒的に足りてないんだが、足を失った一家の主が、ありがたくも義足をいただいたのだ、何を言うんだ、不平を言うなどもっての外、と感じ、それを家族に強要するとそれで一世代ぐらいは持っちゃう、というお話。その他にも気がつくと様々なところに「賜」という語のついた施設があるが、あれがその残滓。
 
 
 
多分、二階の頭の中もこれ式なんだと思う。我が国は栄えており、貧乏な奴らだって国が面倒を見てやってる(はず)だし、そんな奴に不服を言わせる筋合いなどない、という感じ。
 
麻生さんなんかそういう生き方そのままでしょう。
 
ここにないのは、資本主義の伸張に伴い、支配者層は嫌がろうとも仕方なしなしに定着していった社会権、ないしはそれに代置する諸政策の存在。
 
これを支えるにはいろんな考えがあるでしょう。経済効率から行く人もいるだろうし、最低限でも人道的である我々というのは全員のunityの達成に役立つ、というのもありだと思う。
 
あと西欧の王様のいる国がなぜ社会主義的なのかといえば、一定水準を保証する代わりに体制をひっくり返さないという暗黙の了解なのではなかろうかと私は考えてる。戦後すぐのイギリスが、ゆりかごから墓場までのスローガンで著しく社会主義的だったのもこの例でしょう。
 
 
で、日本国民のいくばくかの割合は、戦前は良い時代だったと考えているようなのだが、戦前というのは、社会権を代表例として、個人が生きていくことを保証するみたいな発想を望めなかった時代。身分制秩序の残滓も色濃いからなおさらそうなる。
 
で、それがないからこそ、貧乏でチャンスがないからこそ、大陸で一旗あげようと個人が巨大なリスクを取った。
 
基本形は、
 
貧乏なら死ぬしかないだろう
息子がいる? だったら兵隊に出せ、大陸に渡れ、移民しろ、チャンスはあるのだ
娘がいる?  だったら売れ
 
というのが暗黙の原則といっていいでしょう。
 
 
■ 二度目は茶番に
 
ついでに書くと、去年紹介した
 
この動画は面白いですよ。
 
『近代天皇論—「神聖」か、「象徴」か』刊行記念 片山杜秀(政治学者)×島薗進(宗教学者)トークイベント 1
 
 
片山先生が突っ走ってヘンな人状態になってあたりは、一回聞いてもわからない人が多いと思うけど、いろいろとロジカルに考えればその方向性に行っているだろうとの示唆がとても鋭い。
 
Part 2の方だったと思うけど、大東亜共栄圏というのは、取った領土で日本人が主体民族となる経済圏を作ろうとしていた、その過程では人は一杯死ぬだろう、お父さんも弟も死ぬかもしれない、でもその子どもや孫の時代には主体民族の日本人が豊かに食っていける、と考えてた。しかしそれは失敗した。
 
で、最近の政治家たちがまた同じような壮大なことを言ってるが、できっこない。むしろ、貧富の格差が大きくなって国民の中から切り捨てられる人々が出て来る。それをわかってて言ってるのではないのか、と。下り坂であることを騙そうとして言っているのだろう、と。
 
それで、私(片山)や島薗先生がそこでネガティブなことを言うと、日本会議的な価値観を持った人が、日本についてそんなネガティブを言う人を僕は許さない!とか騒ぎ出す。事件になる。翌日政府は、そんな事件もありましたと何でもないように放送する、みたいな図でしょうか、みたいなことをおっしゃっていた。
 
要するに、ただ煽ってその時々の政治の支援者にしているだけで、実際には何も与えないという騙しの構図ですね。
 
一度目は悲劇、二度目は茶番なんだろうけど、怖すぎる。
 
で、まとめれば、
 
戦前回帰を望む人々が支援する現在の政権の中枢が冒頭のような発言をするのは、むしろ理に適っていると言える。問題は、それで一体私たちはどうするつもりなんだ、なんだが、多くの人が、王に対するような感覚でしか政治を見ていない現状から考えると、何も起きない。
 
 
■ 参考
 
 

 
 
 
 
 
 
 

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