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イスラエルのジェットが撃墜される中東

2018-02-12 18:11:09 | アジア情勢複雑怪奇

シリア南部で何かあって次にロシアで飛行機が落ちるというのは前にもあったような気がする、など思いつつ始まる今週といった趣。

で、シリア南部では、イスラエル空軍のF16をシリア空軍が撃ち落とし、その報復としてイスラエルがシリアを空爆したという話が記事になって出回っている。

イスラエル、シリアに報復 「大規模攻撃」で戦闘機墜落

https://www.cnn.co.jp/world/35114566.html

(CNN) イスラエル軍は10日、同国北部で戦闘機がシリア軍から大規模な攻撃を受け、1機が墜落したと発表した。報復としてシリア国内の12カ所を攻撃したとしている。

イスラエル軍はこれに先立つ同日未明、シリア中部パルミラ近郊にあるイランの軍事施設から発進してイスラエル領空に侵入したイランの無人機を、戦闘ヘリコプターで撃墜していたという。

 

まぁここだけ切り取るとシリア側に先に問題があるみたいだが、イスラエルがこの地域で所かまわず勝手に入りまくって空爆していることはほとんど日常茶飯の話。

しかし、これを世界中のマスコミは常に問題にしてこなかった。イスラエルは押しも押されぬ、まったくの侵略国で、まったくの鼻つまみ者だということを主流メディアは伏せに伏せてきたし、各国も無視し、制裁せずここまで来た。

今更トランプの動きを批判してみたってまったく遅いし、彼らの批判というのは要するに「現状維持」のための基礎作りにすぎない。が、それじゃもうダメだろという勢力がいろいろと画策しているのが現状。

で、そんな中でいえば、イスラエルの空軍機をシリアが撃ち落とせるようになったというのは、実に画期的。状況的には1982年以来らしい。

イランの無人機とか、イランの施設を攻撃したのだ、とイスラエルが言っているのは、理由づけでしょう。シリアはイランから装備品を購入しているからそれのことを言っているんじゃないのか、と考えられるらしい。ありそうなこと。

(この理屈が成り立つなら、日本に空爆しても、アメリカの飛行機、アメリカの施設を空爆したんだから日本に文句を言わせない、というのもOKになる)

 

イスラエルまたはイスラエルを利用しつつ戦争をしたい人々は、こうやって混乱させたがっているんだろうと一応思える。

が、そこでプーチンからネタニヤフにお電話が行って、話し合い、プーチンはこれ以上の対立の拡大は地域の誰にとっても危険だ、と言ったとクレムリンのサイトに出ていた。

 

拡大っつっても、イスラエルは結構なピンチ。イスラエル軍は陸上はたいしたことがないが空域で優位性をもって、自分の優位性を確立するためにシリアのそれもダマスカス付近を始終空爆していた。シリアが自国領空域支配を完全にすると、自国領から勝手に他国領土に入っては空爆してすますというイスラエルだけに許されたような異常な特権がはく奪されるも同然ってところ。

もちろんこれは、2015年にシリアに乗り出して以降のロシア軍によるシリア軍支援のたまもの。イスラエルがいつものように不埒な空爆をするごとに、むしろ対応するための作戦を練っていたことでしょう。

中東方面は、基本的に、ロシアとイランが動じないことがとても大きい。

トルコはシリアとの国境付近でクルドと競り合ってるけど、これによって結果的にクルドの東地中海進出を妨害することになるので、ロシア・イラン・トルコは同じ路線を走っていると考えていい。トルコを信じるというのはとても難しい話なので(トルコ人がいかんというのじゃなくて東西にまたがって幾星霜だから)、ロシアもイランもバックアッププランを考えながらの行動だろうけど、でも頭の良い、暴発的でない、ハルマゲドン待望論者でもない中身のある人々が基本コンセプトをしっかり理解しあっているので、大丈夫ってところだと思う。

これは私たちの共通の利益である、という考えをしっかり浸透させて動いているという意味で、このターンは軍事のようにみえて実は外交が優位性を発揮していると言える。この先の指標にしてもらいたいものだわ。

左からイランのザリーフ外相、真ん中がトルコのチャブシュオール外相、右がロシアのラブロフ外相。


 

 


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