DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

ゲッベルスと私@神保町・岩波ホール

 昨日2018/07/06、日本史上有数のテロ事件、オウム真理教の主犯格6名の死刑が執行された。これで日本、いや世界の歴史上、最大の都市型化学兵器テロ事件について、これ以上解明することは不可能になった。日本は歴史に立ち向かう覚悟と言うものがないな。戦争体験者だって、体験後、40~50年は語る言葉を持てないのだ。オウム幹部も冷静な語りができるよう、40~50年待つ辛抱をすべきだったのだ。
 一方、ドイツ・ナチスのホロコーストの主犯格もほとんどは処刑済だが、なんとナチス宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書、プルンヒルデ・ポムゼルが21世紀の今も在命しており(御歳103歳)、そのインタビューをスクリーンで見る機会がある。これは絶対に見逃す訳には行かない。と言うことで、神保町の岩波ホールへ。結構な人気である。
 インタビューを聞いても、ごく普通の労働者だ。多少利己主義的な主張はするものの、身の回りにいてもおかしくないレベルの利己主義である。つまりは、境遇さえ異なれば、我々だって彼女のような虐殺行為に加担してしまう可能性は十分にあると言うこと。
 何しろホロコーストについて語る映画だ。インタビューの間に挿入される映像には、正視に耐えないようなユダヤ人犠牲者の死体の山が登場する。数百、数千にも及ぶ死体の山は、もはや人間としての尊厳はなく、ものとして扱われる。
 彼女が本当にそうした死体の山を見てなかったかどうかは分からない。見てなかったのかもしれないし、見ていても感覚が麻痺していたのかもしれない。彼女は強く主張する、あの場からは絶対に逃れられなかったと。言わば究極的な同調圧力がかかっていたように思われる。
 翻って、私たちの日常はどうなのだろう。はっきり言って、雇い主に対して労働者と言う立場は、まずもって服従を強いられる、さもなければクビだ。このような状況でナチス幹部に囲まれて仕事をしているような環状況に陥ったとき、抵抗は可能か?
 ポムゼルの最後のセリフにあったように、彼女と同様の罪がドイツ国民にはある。そして、歴史的に彼らはその代償を支払ってきた。映画自体はオーストリアの作品だが、客観性を担保するためであり、ドイツもこの作品に協力的だ。あと、かなりの挿入映像資料をスティーブン・スピルバーグが提供しているようだ。シンドラーのリストなど、ホロコースト問題にも関心の高い彼なら、十分に納得である。
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