DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

三人称複数形

 近年、どの言語においても、三人称複数形が興味深い。以下、その一例。

・ロシア語
 ロシア語にはもともと無人称構文と言うのがある。主語が不明だったり不特定多数の場合でも、ロシア語では受動態を使うことはめったになく、この無人称構文が用いられる。その場合の動詞の活用形が三人称複数。(ちなみに、ロシア語にはもう1つ、格言など一般的な軽い命令ニュアンスを持った非人称構文では二人称単数形が用いられる)
 ロシア語は文法性の厳しい言語ではあるが、複数形では性の概念が消える。ロシア語では動物ですら(特に家畜など生活に身近な生き物では)性別を細かく問う言語だが、無人称構文では性別に対し中立的になる。

・フランス語
 on と言う代名詞がある。私が若い頃は先述のロシア語の無人称構文のように人々一般のような用いられ方をしていたが、どうやら口語では一人称複数としてのの用法が圧倒的に多いようである。もちろんその場合でも、組織を強く意識した「我々」的なニュアンスでは用いられず(このようなケースでは本来の一人称複数代名詞nous が用いられる)、恋人や家族などの身近な一人称複数、ないし、この場にいる人の総称の意味合いでの「私たち」は、ほとんどnous は用いられず、on が使われることがほとんどのようだ。

・英語
 英語のthey の使われ方は特に面白い。不特定多数の彼ら、的な使用法は昔からあるが、今日のポリティカル・コレクトネスの動きとして、LGBT に配慮した発話として、he 、she の代わりにthey を用いる動きである。この場合、もちろん動詞活用形も三人称複数になるが、エクストリームな人権主義者だと、動詞も三人称単数、つまり末尾にs が付く、と言った用いられ方も見られるようだ。

コメント一覧

すぐる
https://yaplog.jp/u-sugu/
単数に対して複数形を用いると言えば、二人称では多くの言語で見られますね。フランス語のvousは二人称複数形ですが、単数に対する敬称としても使われますね。英語のyouももとは二人称複数形で、同時に一人に対する敬称にも使われ、単数の親称としてthouがありましたが後に廃れてyouだけになってますね。英語を習いたてのころなんで二人称は単数でも複数でもyouなのかと疑問に思ってましたが、他の外国語に触れると、なるほどなと思いました。
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