狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

心に絶対的規範由来の礎を存する独立自尊の精神を持つ力・・・「孤独の力」を読む

2016-05-08 09:37:04 | 孤独・独立・自尊心
 日本の植民地化の恐れによる危機が迫る中での明治維新の最中、啓蒙書「学問のすすめ」を発表した福沢諭吉は、「独立自尊」の精神の大切さを説き、「一身独立して、一国独立する」と述べた。日本人一人ひとりが自立して独立精神と自尊心を持つ事によって、国家存亡の危機を乗り越え、当時の西欧列強と対等に付き合える事が出来ると述べ、独立心の無い人たちを批判した。
 「孤独」とは、その「独立自尊」の精神を持ってこそ高い値打ちを有する。世間一般的には、逆に理由も無く悪いイメージで捉え評価している傾向が在る。しかし、大衆・群れから独立して離れ、他に頼らず自分の足で立ち、自分の独自性を重んじて、自分を尊ぶ心を持つ。その上で、自分に誇りを持ち、自分に確信を置くという自信を持つ。
 「自尊心」が大事であって、「他尊心」は必要無い。他人・世間の評価・承認は必要ないのである。周囲にどう思われようが全く関係無い。自分の内に確固たる土台・礎を築けば、それが本当の自信・誇り・自尊心となり、周囲に影響されず、泰然自若となる。
 土台・基礎が築かれない心を持っての孤独は、確かに危うい。孤独により得られる自由が行き過ぎ履き違える恐れがある。それは、迷惑行為、道徳秩序を乱し、犯罪へと繋がる恐れがある。その為、外からの法律による制約だけでは無く、自分の内面に高い自律意識、道徳意識が必要であるが、それらの基となる、確固たる真実の絶対的規範が必要となる。その規範が心に基盤を作る。自由には責任が伴うが、秩序を保つ為のルールを守る事は、最低限必要な事である。
 「孤独の力」(著者:五木寛之氏、出版社:東京書籍、出版日:2014/09/04)を読んだ。
 世間一般的多数派の人たちは、欲望や常識、先入観、人の評判等に拘束され、執着心を持ち、依存して、心が自由では無い。そして欲望や他人等の奴隷となっている。それらこの世的なものから解放されて、精神的に自立する必要が有る。
 しかしこの世で生きていくとなると、その様な世間一般的多数派とは、多少なりとも折り合いを付けていかなければ生きていき難くなる。
 しかし、その事によって得られる定着・定住をせず、放浪してまらうど(客人)や流れ者となって孤独を貫いていた先人たちもいた。山の民サンカもその様な人たちであった。
 また、家庭や仕事を持つと、その分独り静かに黙想する時間を取りずらくなり、思考レベルが低下する恐れが有る。
 世のしがらみや煩わしさ、淫蕩等から逃れて、山で隠遁生活を送り、出世を拒んだ先人たちもいた。良寛や、ジャーナリスティックな「方丈記」を世に遺した鴨長明もその一人である。
 中世の同時期に仏教界に革命を起こした法然親鸞法然は群れて組織を作る事を否定した。また親鸞は、一対一で阿弥陀仏と直接向き合うという近代的個人主義を、その教えによって成立させた。また親鸞は、人間はもともと悪の心を持つという、旧約聖書の「原罪」に通ずる性悪説を唱えた。そして法然、親鸞共に、偶像を作る事を禁じ、神格化する事を禁じ、名号をみだりに唱える事も禁じた。これらも、旧約聖書の「十戒」に通ずるものである。
 しかし、法然と親鸞の教えに対して「馬の耳に念仏」であるがごとく、その弟子や信者、民衆は、その教えに反して偶像を作って神格化し、宗教組織化した。
 イエス・キリスト、ブッダも孤独であった。この世、人に寄り頼まずに、天の父、創造主に祈った
 私は天の邪鬼であり、ひねくれ者であり、へそ曲がりであり、偏屈者である。今後も「独立自尊」を持って、「孤往独邁」を貫く覚悟を持っている。自分の内に土台を築き、「確乎不動」となって生きていく。
 本書において、鴨長明が渡来人ではないかと問うている。京都の地が、祇園祭、広隆寺、松尾神社等と、その渡来人により形成された事が伺える事等も関連して述べている。そして法然や親鸞の教えにその趣向が感じられ、且つ、その血筋から、渡来人、古代ユダヤ人ではないかと言われているのである。下記に在る本ブログ過去の記事、2012年11月22日付「法然・親鸞は古代ユダヤ人」に記載している。

 本ブログ過去の関連記事
  ・2012/12/20付:「天変地異、災害、無常・・・方丈記・鴨長明の生き方と、キリスト者としての生き方」
  ・2012/11/22付:「法然・親鸞は古代ユダヤ人」
  ・2013/04/08付:「唯一の創造主に従いながら、此の世に在っては『独立自尊』の精神を」
  ・2013/11/24付:「自由で自然なマイペースの自分を取り戻す為の、独り静かな食事・・・『孤独のグルメ』を読んで」
  ・2014/05/18付:「『独行道』・・・流浪・孤独の境涯を渡った宮本武蔵・・・『宮本武蔵 剣と人―遺書『独行道』に秘められたその実像』を読んで」
  ・2014/06/29付:「『『普通がいい』という病』を読んで・・・絶対的基準・規範も持たずにお互いの顔色・反応を確かめて『普通』と認め合っているに過ぎない世間の人達」
  ・2014/08/06付:「奴隷根性を持たないパレスチナ人が不義・不正のイスラエルに対して抵抗・反抗するのは正当・・・イスラエルのガザ侵略・パレスチナ人に対する虐殺と人権蹂躙(3)」
  ・2014/08/26付:「独立心の強いパレスチナ人は決して妥協せず抵抗・反抗を続ける・・・イスラエルのガザ侵略・パレスチナ人に対する虐殺と人権蹂躙(15)」
  ・2015/08/13付:「自分のアイデンティティを重んじ自尊心を高める事が自信・誇りとなり、ひとりで生きる強さとなる」
  ・2015/08/13付:「独立を維持し自尊心・自信を持ちつつ自分の弱さを認め謙虚である事による力・・・『負ける力』を読んで」
  ・2015/11/29付:「精神的に自立した本当の大人は自分で勉強する・・・セックスを基準に大人と判断する世間の低レベル」
  ・2016/04/10付:「独立自尊の精神で孤往独邁の覚悟・・・妥協せず精神面での勝利、『自分を取り戻す』」
  ・2016/05/08付:「閑寂の中に独立し、心に礎を据え成熟する・・・『孤独の価値』を読む」

 参考文献
「孤独の力」(著者:五木寛之氏、出版社:東京書籍、出版日:2014/09/04)
「孤独の力」(著者:五木寛之氏、出版社:東京書籍、出版日:2014/09/04)

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