老蛍闇に爪かくごとく飛び 渡辺誠一郎
蛍は古来詩歌で最も関心をもたれている昆虫の一つ。和歌で蛍といえば
物思へば沢の蛍のわが身より
あくがれいづる魂かとぞ見る 和泉 式部
であろう。「男に忘れられて侍りけるころ」貴船神社の御手洗川で詠んだと伝わる。
「あくがれ」は「吾・処く・離かれ」と寺田透の『和泉式部』で知った。蛍が作者の内部から抜け出して何処へかと彷徨う。その蛍を驚きを持って見ている作者が見えてくる。
『日本書記』には「蛍火之光神」が記載されているが、これは王権に逆らうあやかしの神のこと。つまり、蛍は制御不能の魂や存在を指す。それが「爪書き」しながら飛ぶのだ。「爪書き」とは、筆も紙もない苦境にあって石や壁などに爪で搔いて記すことである。熊野古道には一遍が爪書きをした磨崖名号碑が遺ると聞く。
佐藤鬼房も 「私の俳句を言えば地面に描く爪書きのようなもの。消えやすい砂地の場合もあるが、概ねは岩肌だから爪は裂け血がにじむ。描いたものも永く残ることはないだろうけれども、しかし映像として私の網膜に映りつづけるだろう。」と泉洞雑記で述べている。この句の「老蛍」には、そうした鬼房の姿が二重写しになっている。
一螢火落つ山裾の真暗がり 鬼房
の句が脳裏に浮かぶが、飯島晴子の〈蛍の夜老い放題に老いんとす〉とも響きあっている。
ホタルの画像が不鮮明で↑スミマセンです😢⤵⤵散歩コースでカワセミ見ました🐥カルガモもそこそこ来ています☺午後5時過ぎに十月桜を撮りに来た人がいて、エヘヘ(*^.^*)へ、もう暗いですよ📷フラッシュで撮ってましたけど🐧