Ad novam sationem tecum

風のように日々生きられたら

「いつか見た夢を」/「彼女は買い物の帰り道」

2010-10-20 02:48:49 | 日々の徒然
いつか見た夢を


“いつか見た夢を

正夢にしよう”

宮本さんの声が、

はっきりと、

そう歌っていた。

“つまり 毎日を行け”


日々の毎日の

この先が

夢へと続いている。

そう、

はっきりと歌っていた。

宮本さんの歌声は、

のびやかで、

想いが、

途切れずに、
どこまでも続いていくように

感じた。


だから、

“行け!”

“輝け!”

“飛び出すぜ”


そういう、言葉の数々が、

弾みをつけて、

高みへとジャンプできるように、

背中を

力強く

押してくれたように感じた。


そいう力をくれる

宮本さんの歌声だった。


全肯定。

全てを肯定してくれる

歌声だった。

演奏も、とても力強かった。


「bridge」のインタビューで、

宮本さんは、

“正夢にはならないかもしれないけれど”

そう、言っていた。


“いつか見た夢を 正夢にしよう

つまり 毎日を 行け”

その言葉の意味は、

少なくとも、

毎日を懸命に生きてゆくことだけが、

夢を正夢にする唯一の手段なのだ、

ということなのかもしれない。



いつも、
走り続けることができるわけじゃない。


どこまでも、

走り続けることができるわけじゃない。


そうやって、
辿り着いた先が、

もとの場所かもしれない。

夢は、正夢にならないかもしれない。

きっと、
多くの場合、そうなのじゃないかと思う。


私も、そう、思う。


おそらく、
みんな、そのことを
知っている。


でも。

結局のところ、

生きていかなければならない。


走り出さなければ、

走り続けなければ、

先へと進めない。


また、

そうやって、

走り続けた先にのみ、

夢が正夢になるということもあるのだろう。


そのことも、
みんな、わかっている。


だから、

くすぶる想いを持っていたって、

勇気がなくたって、

いいんだ。


そういう想いを、
全部肯定してくれた。



自由に、

何度、転んでもいい、

そういうことも全部肯定して。



もっと、強くなりたい、と

いつも、思うけれど。


弱さも

何もかも

ひっくるめて

自分なのだと、
自覚することで、

人は、もっと、強くなれるのかもしれない。

なんだか、不思議なことだった。

強くなる必要は、

ないのかもしれない、

とも思った。

人は、やっぱり、

いろんな弱い自分を抱えながら

生きているから。

弱さを持たない人なんて、
いないんだと思う。


ただ、

毎日を懸命に生きていれば、

つながっていくんじゃないか。


そして、

先へ、進みたい、

進もう

という気持ちを持つことができれば、

きっと、

さらに、一歩踏み出せる。

そうやって、
生きていければいい、と思った。


宮本さんの、

力強い歌声は、

その、一歩を踏み出す力を

くれる。


宮本さんの歌声を聴いていると、

飛び出して行きたい気持ちになる。


全肯定の力。


この曲の、宮本さんの歌声に、
その力の強さを
感じた。


“風に吹かれて さあ飛び出すぜ”


“俺の思いよ 今すぐ さあ行け!”


そうやって、
毎日を行けば、

いつか、

夢が正夢になるかもしれない。


いつか、きっと。


「生きていこう」

と思った。



彼女は買い物の帰り道


想いが重なる歌だった。


彼女が想う
その先には、

やっぱり、
その人がいて。

その人は、


同じ想いを抱えて
彼女を、見ていた。


彼女が

たくさんの想いの中で、
最後に選んだのは、

その人への想いだった、
と思う。

いくつもの想いの中で、

一番大切なのは、

その人への想いなんだと思う。


愛するために、

生きていきたいと、

思ったのだと思う。


どんなことよりも。

どんなことがあっても。


その人を、
愛したいと、

彼女は思ったのだろう。


想いを定めることも、

想いを投げかけることも、

想いを受け止めることも、

時として、

とても、
難しいことばかりのように、
感じる。

どうすることも、できなくなって、
立ち尽くすしかないときもある。


そのとき、
見上げた景色が、

目の前に広がるような気がした。


雲の流れる、その向こうに、
その人を思い浮かべたときのこと。


そのときの空が、
はっきりと、思い浮かんだ。

そうやって、
その人を思い遣る

彼女の姿を、

その人は、見ていた。


やさしい気持ちで、
見てくれていた。


そのやさしさが、

すうっと、心に染み渡るような、

歌声だった。


想いが、
重なった。


やさしさは、
心に染み渡って、

心がじんわりとあたたかくなって

涙がこぼれた。


想いが重なるということは、

こういうことなのかと

初めて知った。


幸せな瞬間だった。


ストリングスの音が、
きらきらして、

でも、
決して大袈裟ではなくて、

ささやかな喜びのようでもあった。


とても綺麗な瞬間だった。



彼女は、

愛していると言って、


最後の

愛している、という言葉は、

その人の言葉のように聞こえた。



愛してる。


愛してる。


やさしい言葉だった。

やさしい歌だった。






  *     *    *



素敵な歌を、

ありがとうございました。