空気

相談してくれるのは嬉しいけど



繰り返される愚痴と自己弁護にうんざりしながら
何を言うべきか考えあぐねて
だんだん疲れてきて
もうどうでもいいから帰れ
と思うほどになる。

それだけでなく
本来なら無関係な人に対しても
愚痴が飛び火する様子は
見るに耐えない。

人が愚痴や悪口を言う姿と言うのはやっぱり醜いものらしくて
元々気まぐれな造形をした彼女の容姿が
老婆の姿をした猿のように見えて
それは冗談抜きに
醜いと思った。




まぁ
こんなことを書き連ねている自分の顔が
恐らく最も醜いんだろうけど



知りたくないことは
増えていく

嵌

私の平衡感覚を失わせたのは
夜景か
観覧車か
それとも彼のまっすぐな眼か

この逆体格差には気が引けるけれど
こんな自分を大切にしてくれる人がいてくれて
幸せです



彼は
自分なんかのどこがいいんだろう


まだ答えのわからない疑問に対する自分なりの考えは

思いやること

彼を思いやって
優しく温かく
おそらく彼が自分に対して持ってくれているであろうイメージを壊さないように

できるかな

ベリーミント

他愛ない会話が楽しくて
言う瞬間は本当に緊張して
手の温もりを感じる幸せ



なのに




彼の体調が気がかりで
自分のせいで落ち込ませてしまっているなら早く結論を出さなきゃと思って
急いてしまってはいなかったか

好きな人と付き合うより
好きと言ってくれる人と付き合うことにならないか

彼に失礼のないよう
あの人のことをしっかり踏ん切りつけられたか

そもそも自分が
彼に相応しい人間になれるのか




どの問いにも
自信を持ってイエスと言えない

こんな始まりでいいのかよ

喉 ２

自分とは比較にならないほど頭がいい人がたくさんいて
自分はなんだか彼らの意見には無抵抗になってしまう節があって
まぁ自分よりは正しいだろっていう頭の弱い思考をする時点で
鵜呑みにしてしまうのも無理はないかもしれない。


そんな彼らから自分が下に見られると
自分が下だなんてそんなのはわかってるから
納得いかないわけじゃ全くなく
それよりも
彼らが言ってんだから自分は本当にその人よりも劣っているんだと
自覚させられるのが痛くて
飲み込んだ言葉が喉を焼いて
胃が収縮する。


慌ててベリーミントのタブレットを口中に放り込むけど
舌の上の苦味は消えずに
メントールが気休め程度に喉を撫でていくだけで

人の話を聞かないことは話し手が悪いのか　とか
そうやって全体を知ることなしに人格をカテゴライズしていいのか　とか
彼らの言うことは正しいのか　とか
そもそも正しいとは何なのか　とか

考える力のなさに
自分の意見を通す気力もなくなるよ

喉 １

闇にぼんやりと散らばり
自己と他者の区別もつかない金属片が
各々動き　交わり　ぶつかり　すれ違い
その軌跡が刻まれるほどに
他者とのつながりは増し
軌跡に囲まれた孤独は加速する



自分の不手際で
友人と自分の
孤独の淵は溝に変わる



寝たふりをしたバスの中
閉じた瞼の下
金曜日のことを思い出して
喉が痛い
顔から火を出せるものなら焼ききってしまいたい



読みかけていた本のページを
鬱屈としたまま繰れば

深遠なる文学の
洗練された冗長さの波に
たゆたい　揉まれ　呑まれ
恐らく作者の言いたいことの２％も読み取れていないけれど
つかの間
あっち側の世界へ心地よい旅をする



こっち側に戻れば
何も変わらない自分と部屋


血を流さなければいけないとは言うけれど
名作の尻馬に乗って自己陶酔するだけの自分は
とりあえず喉が痛くて
友人には明日謝ろうと思う

比

この一ヶ月で
周りのポテンシャルの高さに焦り
人間関係は緩やかに変化し
交わるごとに
周囲の色合いは濃くなりコントラストを増していく

それは
人間的魅力だったり
嫌悪感だったり


知れて良かったことも
知りたくなかったことも
このコミュニティが
自分に蓄積されていく



これから歳を経るごとに
少しずつ褪色していくであろうこの蓄積
けれどもこのコミュニティが存在し
そこに私が属していたという事実を
消すことはできない




人と自分を比べてるだけじゃ何も変わらないし
差を埋める努力もしない自分に落ち込む資格はないし
ましてや人に愚痴るなんて何の生産性もない迷惑行為だ



自分が他と同等以上に扱われないと機嫌悪くして
自分のカスな評価を突きつけられる話題から逃げて
気配りのできるメンバーにご機嫌とってもらうなんて
なんて嫌な奴




消せないこと　ばっかり