雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

裏閻魔3

2012-11-18 21:18:00 | 

中村ふみ著"裏閻魔3"をよみました。
"裏閻魔"、"裏閻魔2"の完結編です。
このシリーズ好きです。
またまたねたばれで書いてしまいますので読む予定の
方はご注意を。

不老不死となった室生閻魔が主人公です。
二十歳ぐらいの時に鬼込めされて若い姿のまま江戸
末期から昭和の戦後を生きてきました。
この本では昭和32年から41年が描かれています。
日坂奈津は閻魔が鬼込めされたころに知り合いました。
当時は奈津の方が年下でしたが奈津はどんどん年を
取っていきます。
彼女は非常に苦労をして当時ほとんどいない女医と
なりました。
閻魔の兄弟子にあたるのが室生夜叉です。
奈津は閻魔をずっと愛しています。
閻魔も奈津を愛しています。
しかし奈津は姿を消してしまいました。
なぜなんだろうと思っていました。
老いるのはしょうがないこと、好きな人の近くで暮らし
たらよさそうなものをと思っていました。
この巻で奈津がいなくなった理由がわかりました。

夜叉は遠い親戚の皆藤浩一郎に追われています。
公一郎はまだ十台です。
尊敬していた祖母が老いてそれまでのかくしゃくとした
姿とは離れていくのを見ていて、老いたくないと不老
不死の秘密を知りたいと必死で夜叉と閻魔を追います。
豊田製薬の研究所を自分の研究のために建てさせます。
彼の行動は狂気じみています。
閻魔は一度捕らえられここへ連れ込まれます。
手錠につながれた手をビンのかけらで切って逃れます。

死なないといわれていますが夜叉は弱っています。
もう死は間近だとさとっています。
彼は閻魔と出合って生き方を変えました。
人を殺すことを止めました。
浩一郎の手は伸びています。

閻魔を助けてくれているのは牟田信正、信正の死後は
養女の恵子が手を差し伸べてくれます。
大河内は恵子の秘書をしています。
とても堅物で主従の関係を崩しません。
が、やっと大河内と恵子は結婚します。

奈津の居所を知らされていていつか閻魔に知らせて
やってくれと頼まれていた夜叉は閻魔に知らせます。
まだアメリカの統治下にある沖縄にいました。
密航して沖縄に行きますがすでにその場所を離れています。

奈津が閻魔をさけているのは夜叉に鬼込めをされたからです。
無理やりではなく奈津も承知しています。
不老不死を込めたのではなく顔を若く保つようにです。
彼女の顔はどんどん若くなっていってしまいます。
二十歳のころまで若返って止まりました。
体は年相応に老いていきます。
この姿を見られたくなかったのです。

医師としての仕事をやめ近所の主婦の手助けで生きています。
老いて動けないのではなく病弱なのだと思われています。
閻魔と知り合いのロブがタットーを仕事として沖縄に
来ています。
閻魔が奈津を探しているのを知っています。
彼は二十歳の顔をした奈津に出会います。
本人とは思いませんでしたが不思議な出来事として閻魔に
書き送ります。
閻魔は沖縄にやってきます。
長く思い続けた二人はやっと会うことができました。
閻魔は奈津を東京に連れて帰ります。
短い間共に暮らし奈津は亡くなります。

このころ夜叉は浩一郎に捕まり研究所へ連れ込まれます。
奈津に夜叉を助けてやってと言われて閻魔は研究所へ
乗り込みます。
夜叉は弱っていて動けません。
残酷な浩一郎は夜叉の足を切ってしまいます。
たかをくくっていた浩一郎ですが閻魔に追い詰められます。
研究所は浩一郎が持ち出した爆薬で爆破し火災で燃えて
しまいました。
閻魔は夜叉を背負って不死の猫と共に逃げました。

閻魔は恵子の援助はもう受けないようにしようと姿を
消しました。
恵子の孫が渋谷で写真で知っている閻魔を見かけたと
告げます。

閻魔と奈津との関係、閻魔と夜叉との決着、いったい
どう収まるのかと期待していました。
こうきたかと満足の決着です。
うまいところに落ち着きました。
閻魔と夜叉は決闘でもするのかと思いましたがまったく
外れました。
でもこの決着の方がはるかにいいです。
二人は不老不死を捨てて死んでしまうのだろうと思って
いましたがまだ見守る人がいるようで生き続けます。
この結末も予想を外れましたがこちらの方がいいです。
裏閻魔のシリーズよかったです。
ゴールデン・エレファント賞受賞のエンターティメント
作品でした。

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