雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ジャズと落語とワン公と 天才!トドロキ教授の事件簿

2012-06-25 20:30:00 | 

赤井三尋著"ジャズと落語とワン公と 天才!トドロキ
教授の事件簿"を読みました。
表紙が現代的でちょっと内容と合わない気がします。
時代は大正末期から昭和20年代ぐらいです。
早稲田大学の等々力教授の助手の井上が過去を振り
返って思い出を語る形式を取っています。
等々力教授は言語学を研究していて数ヶ国語を理解
できます。
3篇から成っています。

"秋の日のヴィオロンの溜息"
アインシュタイン博士がエルザ夫人と北野丸で日本へ
やってきました。
博士は神戸で下船して陸路東京へ向かいました。
荷物は内国通運が神戸から東京へ運びました。
ホテルでくつろぎバイオリンをケースから取り出して
すりかえられているのに気づきました。
高価なものではないのですが博士にとっては大事な
ものです。
アインシュタインのバイオリントとなればプレミアムが
ついて手に入れたいと思う人が出てきます。
等々力教授と助手の井上が調査に乗り出します。
ホテルに運ぶトラックにマントが投げつけられトラックは
ブレーキをかけたため荷物が散乱しました。
バイオリンを奪っていったのは子供たちでした。
子供を追いかけて戻ってきたらバイオリンが置いて
あったので運転手はそのままホテルへ向かいました。
新聞社にはバイオリンの写真が送られてきました。
井上はあと少しで犯人に殺される目に会います。

"蛙の水口"
関東大震災が起きた翌年のことです。
外務省の幣原喜重郎は電信課花岡を連れて等々力教授を
訪ねてきました。
建設現場で電信課の伊藤が吊り下げられていた鉄骨が
落ちてきて亡くなる事故が起きました。
伊藤のポケットから暗号文らしいものが出てきました。
外交暗号が某国に解読されている疑いがあります。
内部のものが情報を漏らしていると疑われています。
伊藤がそうではないかと疑われています。
伊藤の持っていた文章の解読とスパイを見つけ出す
ことを頼まれます。
花岡が手伝いに残ります。
ロシア語を学んでいる絹川も一役買います。

"ジャズと落語とワン公と"
戦後の話になります。
早稲田大学の卒業生で映画の助監督の結婚式に等々力
教授と井上は出席しました。
落語家も出席して落語を披露します。
式が終わり休んでいると落語家がやってきます。
彼は柳家金語楼師匠です。
金語楼はジャズ落語をやっています。
富山の薬売りだという男がやって来て造成中の墨田公園で
ジャズ落語をやって欲しいと依頼されました。
側に建っている病院に末期の知り合いがいてその男に
聞かせてやりたいのだといいます。
無料で公開することで費用はもらっています。
しかし病院へ訪ねてそれらしい入院患者に聞いてもそんな
男は知らないといいます。
あげぐ依頼人と連絡がとれなくなりました。
公演はするつもりでいます。
どういうことなのか調べて欲しいと依頼されます。
ワン公は渋谷のハチ公です。
ハチ公が活躍します。
何がたくらまれていたかは、シャーロックホームズの
赤毛連盟みたいなことです。

登場人物はアインシュタインも幣原喜重郎も柳家金語楼も
実在した人たちです。
お話自体は創作でもこの人たちのいた時代背景や仕事や
行動などは本当のことです。
真実と創作が入り混じって不思議な雰囲気をかもし出して
います。
おもしろかったです。