泰西古典絵画紀行

オランダ絵画・古地図・天文学史の記事,旅行記等を紹介します.
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紙の博物館at飛鳥山・王子

2011-04-10 18:17:00 | 行ってきました(美術展以外)

 都知事選の投票のついでに足を伸ばして花見の名所・飛鳥山に行きました.新都知事には有事にぶれない対応ができて,平時に不適当発言の少ない方になっていただきたいと思います.

 旧渋澤邸についてはまたの機会として,王子製紙の流れを汲む紙の博物館は,今日は満開の桜に囲まれていました.


紙の博物館          飛鳥山には一本しかないという御黄衣という桜が館の近くにあり,この花は淡緑色からピンクへと色が変わってゆくとのこと.


写真左・入り口のある2Fと3Fの展示は小学生にも分かりやすい「様々な紙の出来るまで」を中心とした展示 
写真右・4Fは「和洋の紙の歴史」百万塔の陀羅尼の実物や金唐(革)紙の制作工程見本,紙で出来ているとは思えない婦人服など様々な紙製品の展示もあります.また,隣には企画展の展示室があります.


写真左・紙の歴史の中では,パネルの展示でパピルスの作り方を初めて知りました.茎の中身を押し伸ばし水を含ませた帯状のものを縦に並べた上に横に並べて重ね乾燥させて作るそうです.
写真右・中国で蔡倫が発明(改良)した紙は12世紀の半ばに西洋に伝わりました.展示物の紙をすく簾には針金のマークがありますが,ここが透かしになります.書籍は1728年のケンペルによる英文「日本史」と,上海で出版された19世紀の聖書など.



 興味深かったのは,江戸期以降の主要な和紙の産地から,伝統の和紙が集められていました.最近紹介したレンブラント展での銅版画における和紙の使用について,繊維を分析すれば,調べ方によっては原産地をかなり特定できるのではないかと期待してしまいました.

 4Fの休憩コーナーの窓からは,満開の桜がそれはもう素晴らしい眺めでした.日本人なら,この花からきっと元気をもらえるだろうと確信しました.早く桜前線が北上しますように.