かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

渡辺松男の一首鑑賞  24

2013年08月30日 | 短歌1首鑑賞
   
                   『寒気氾濫』(1997年)橋として24頁
                   司会と記録:鹿取 未放

 ◆前回、一首を飛ばしてしまいましたので、申し訳ありませんが歌の順番が逆になっています。


51 測深鉛深空へ垂らしつづけつつ屋上にわれは眠くなりたり


(記録)2013年6月
 ★この測深鉛って海なんかに垂らすものですよね。それを空に垂らしている。逆に向いているん
  ですよね。この作者は覚醒者だと思う。レポーターは効率優先の世と書いていらっしゃるが渡
  辺さんはそれに距離を置いている。文明を否定している訳ではないが距離を置いていると読み
  ました。(渡部慧子)
 ★今の慧子さんの意見を面白く思いました。測深鉛は海や湖に垂らして深さを測る道具ですが、
  ここではそれを空に向けている。渡辺さんはこういう逆方向に向かう歌をたくさん作っていま
  す。もっとも地球は球体なんだから空に向けて垂らしても理屈ではありなんですが。測深鉛は
  20メートルくらいが普通だそうですから、垂らしつづけるにはとても足りない長さですね。
  だから無限ほども長い測深鉛を垂らし続けている。それは永遠ほど長い時間が必要だから眠く
  もなる訳です。それでイメージとしては以前やった宰相からの要請を蹴って在野にあって塗中
  に尾を曳く思想家達を思いました。老子のような人が釣り糸を垂らす代わりに屋根の上で測深
  鉛を垂らしている。社会と距離を取っている生のありようをわりとユーモラスに描いているの
  かな。
   それと、ポワンカレの紐のことも連想しました。以前ポワンカレの紐の歌を歌会に出した時
  言ったけど、仮に宇宙に紐を曳いて一周して、その紐が回収できたら宇宙は球体をしている
  って。もちろん宇宙に紐を曳く云々は理論上の話で、現実には不可能ですけど。(鹿取)


(レポート)2013年6月
 単調な作業を繰り返すような仕事をこのような言葉を用いて語っているのであろうか。のどかで消えることがないように思える余韻が生まれている歌ではあるが、逆に効率優先の現代の社会のありようが鋭くひびいてくる。作者の思いはそこにあるのであろうか。(崎尾廣子)
コメント   この記事についてブログを書く
« 渡辺松男の一首鑑賞  23 | トップ | マイアミサラダと食中毒 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌1首鑑賞」カテゴリの最新記事