かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

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馬場あき子の外国詠81(スペイン)改訂版

2015年10月26日 | 短歌一首鑑賞
  馬場あき子の外国詠9(2008年6月)
      【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P54
       参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:藤本満須子
      まとめ:鹿取未放


81 ジパングの国より来たる感情の溺れさうなる西班牙の空

       (レポート)
 本や写真集で見るとどれも深く青い空が写っている。湿度の少ない日本よりやや気温の低いこの時期、地理的な条件や肥沃な土地等、思い浮かべてみる。
 この歌は3句めから4句めにかけての「感情の溺れさうなる」というところに眼目がある。しかし空の下に存在する人間の営みや古い歴史ある建造物、そして観光都市として栄えているスペインであるからこそである。「ジパング」と古い言い方が初句にありその国よりやってきた作者、ここには、スペインの歴史、侵略と征服の象徴でもある王宮その他の富、……この歌の作者の気持ちはいかばかりか、私には推しはかることはできない。(藤本)


      (発言)
★年齢によって空の受け止め方が違う。(T・S)


       (まとめ)(2015年改訂)
 80の歌に見られるような日本のあいまいな情緒的な空ではない、きっぱりとしたスペインの空を仰いでの感慨。かつてジパングと呼ばれたはるか東洋の小国から来てみると何もかもがあまりにも違う。日本的情緒を纏ったアイデンティティーが異国で見失われるような不安を詠んでいるのではないだろうか。
 また、ジパングといった時、ザビエルはじめさまざまな宣教師たちがスペインから派遣されて来ていた両国の交流の歴史にも当然思いを馳せている。(ザビエルはポルトガル人だが、スペインから派遣されて来日している。)つまり布教だけでなくその後のキリスト教禁止令や逮捕処刑なども含めた両国の関わり合いである。だから「ジパングの国より来たる感情」とは単なる両国の気質の違いなどではない、複雑な物思いを背景にもっている。(鹿取)


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