かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠101(スペイン)

2018年10月14日 | 短歌一首鑑賞
 馬場あき子の外国詠12(2008年10月実施)
  【西班牙3オリーブ】『青い夜のことば』(1999年刊)P61~
   参加者:F・I、N・I、T・K、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:N・I まとめ:鹿取未放


101 生きる智恵や努力はさびし整然とオリーブ植ゑて乾ききりたり

      (レポート)
 広大な荒野に整然とあるオリーブ畑には智恵とか努力以前の、人間の原点の逞しさ、土俗性を見たのだと思います。(N・I)


       (まとめ)
 オリーブの山々を震動させて機械で実を落とすダイナミックな前歌(震動幾山河震動させにつつオリーブの実を落す西班牙)から一転する。実を棹で落とす次の歌からするとこれは小規模な農園を詠んでいるのだろうか。生きるために人々はオリーブを植える。持てる智恵を全て傾けて、整然とオリーブは植えられている。しかし努力もかいなく厳しい風土に土地は乾ききっているのだ。「生きる智恵や努力はさびし」と風土に生きる人々の厳しい生活状況を捉えながら、「さびし」に作者のやさしいまなざしがある。(鹿取)