かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

ブログ版 馬場あき子の外国詠334(スイス)

2018年06月18日 | 短歌一首鑑賞
 ブログ版馬場あき子の外国詠46(2011年12月実施)
   【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)167頁~
    参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、たみ、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:崎尾 廣子
   司会とまとめ:鹿取 未放

334 薄き空気と高さに馴れし体らは標高三千ではしやぎはじめぬ

      (当日意見)
★人間は高所では内省的になりにくい。これが地下なら内省的になるだろう。(慧子)
★「体ら」は複数を表し、自分だけでなく他の人たちも、という意味。(藤本)
★高さにだんだん順応して体が喜びに浸れる状態になってきた。同時に心も解放された。(たみ)


     (まとめ)
 ユングフラウヨッホ駅からエレベーターで上るスフィンクス展望台は3571メートルだそうである。この歌には精神の高揚感がある。「体ら」の複数は「自分だけでなく他の人たちも、という意味」との意見があったが、複数の人ではなく〈われ〉の手も足も頭もというように体の複数の器官を指しているともとれる。私はこちらの説。だから「はしやぎはじめ」たのは〈われ〉の体感をいっているのだろう。(鹿取)