かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 336

2016年07月20日 | 短歌一首鑑賞

  渡辺松男研究40(2016年7月)『寒気氾濫』(1997年)【明快なる樹々】P139
       参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:泉 真帆
       司会と記録:鹿取 未放

336 絹雲の高さが自由のごとく見え世界史にアレキサンダーを追う

     (レポート)
 絹雲の高々としたさまが、自由の象徴のようにみえたのだろう。そんなとき、東方遠征を行いペルシャを征服し、わずか十年で東はインダス川に達する大帝国を築いたアレキサンダー、アレクサンドロス3世の歩みを思い出したのだろう。(真帆)


      (当日意見)
★絹雲は巻雲が正しくてこの字は当て字のようです。(曽我)
★辞書ではどちらも載っていました。ところで、自由のごとくにちょっと引っかかったのですが、
 何かアレキサンダーの行った自由に関する政治があったのでしょうか?広々とした感じでいいか
 と最終的には思ったのですが。(真帆)
★私は作者がアレキサンダーの歴史を調べていて、でもちょっと休みたいなと、そういう自由はあ
 るんじゃないかなと思った歌かと。(慧子)
★刻苦して世界史の勉強をしているのではないと思いますよ。空高く広がる絹雲を見ていたら、何
 かとっても解放された自由な気分になって、ふっと大昔のアレキサンダーの事なんかを思ってみ
 た。歴史を旅する気分ですよね。秋の空気感、淋しいようなはかないようなはろばろとした気分、
 それがアレキサンダーに通じたのじゃないですか。(鹿取)