馬場あき子の外国詠 ⑦(2008年4月)
【阿弗利加 3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P172
参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・S*レポートの表記は、句読点・誤字脱字を含めママ。
司会とまとめ:鹿取 未放
59 身のつやも失せてとぐろを巻けるもの笛吹けば怒る死ぬまで怒れ
(まとめ)
長年蛇使いに使役されて疲れ果てつやもなくなっているのであろう。蛇は仕込まれて餌をもらうために笛に合わせて身を踊らせるのであるが、それを作者は怒ると表現している。窮屈な袋に押し込められて、いきなり大勢の見物人の前にさらされれば怒りたくもなろう。とらわれの身の日頃の鬱屈も当然怒る原動力になっていよう。それゆえ、なおさら蛇の踊りは迫力をもっているのだろう。そして作者は「死ぬまで怒れ」と蛇に荷担の情をもって呼びかけている。高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」や、渡辺松男の〈そうだそのように怒りて上げてみよ見てみたかった象の足裏〉『寒気氾濫』を思い出した。(鹿取)
(レポート)
人群れの前では、つやも失せるであろう。「笛吹けば怒る死ぬまで怒れ」は、何事も生きていくためであり、その蛇を力づける言葉であって死ぬまで怒れなのだ。作者の優しさである。(T・S)
(当日意見)
★反抗しろ、というメッセージ。(崎尾)