馬場あき子の外国詠 ⑥(2008年3月)
【阿弗利加 2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P169
参加者:KZ・I、KU・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、田村広志、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・H
司会とまとめ:鹿取 未放
51 アトラスを越えんとしつつ深々とアフリカを吸へば匂ふアフリカ
(まとめ)
「アフリカを吸へば」とはたいへんおおざっぱだが、ここではそれが生きている。アフリカの歴史も含めたすべてを吸えば、アフリカそのものが匂うのだ。それは具体的な匂いではなく、五官のすべてを通して感じ取るアフリカという存在の本質なのだろう。
アトラス越え、は「阿弗利加」の章のいちばん初めに〈不愛なる赤砂(せきしや)の地平ゆめにさへ恋しからねどアトラスを越ゆ〉などと出てきているが、それぞれの章で発表の雑誌が違う為、時間的にラグが生じている。(鹿取)
(レポート)
長年の夢であったアフリカの旅が実現した。作者は喜びにうちふるえている。今、アトラス山脈を越えて沙漠に向かいつつある。大きく深呼吸をしてみると、ああ恋しい沙漠の匂いがする。これこそがアフリカの匂いである。「深々とアフリカを吸」う、これこそ大自然の匂い、地熱の匂い。アフリカはこの匂いのほか表現のしようがないと作者は感激しておられる。匂いの内容を言っており、詩情豊かである。(T・H)