かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

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馬場あき子の外国詠75(スペイン)再

2015年10月19日 | 短歌一首鑑賞
  馬場あき子の外国詠9(2008年6月)
      【西班牙 2 西班牙の青】『青い夜のことば』(1999年刊)P52
       参加者:N・I、M・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:藤本満須子
       まとめ:鹿取未放


75 いすぱあにあ──── はるかなるものを呼ぶときの葡萄の香り薄雲の肌

       (レポート)
 Hispania いすぱあにあ:南ヨーロッパイベリア半島の大部分を占める立憲君主国。15世紀末に統一王国が成立して栄え、長らく広大な植民地を持った。日本との修交は安土桃山時代に遡る(スペインの大航海時代、カソリックの布教と侵略、征服、コロンブス)
 「いすぱあにあ」と声に出して読んでみる作者、広大な自然の中の葡萄の香りとそこにくらす人々の肌の色を薄雲のような肌と表現した。ひらがな表記と実線を使うことによって2句以下の言葉を呼び出し何とも言えない甘く哀しい感興を呼び起こしているうた。スペインではなく「いすぱあにあ」とうたったところにこの歌の生命を感じる。(藤本)

       (発言)
★乾燥した大地と空の色(藤本)

  
       (まとめ)
 ザビエルが日本に来て伝えたものに、ガラス・めがね・ニット生地などとともにワインがあるそうだ。前の歌の鑑賞で「日本にはワインが無いので米のお酒を飲んでいる」という意味のザビエルの手紙を紹介したが、ザビエルにとっては葡萄から作るワインはキリストと切り離しては考えられない大切このうえない品だったのだろう。ここでも「いすぱあにあ」と葡萄の香りは切り離せないものとして想われている。「薄雲の肌」は空にうっすらと浮く雲であると同時に、うすい皮を張った透き通る葡萄の果肉を思わせる壊れやすく繊細な比喩で、あこがれのスペインを象徴するものであろう。
 「いすぱあにあは、ひらがな書きでないといけない。ザビエルの望郷の気持ちを思いやってい  る。」というご意見を、後日歌友のM・Tさんよりいただいた。(鹿取)

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