かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠369(トルコ)

2014年12月19日 | 短歌一首鑑賞

 馬場あき子旅の歌37(11年3月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P121
         参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
         レポーター:曽我 亮子
         司会とまとめ:鹿取 未放


277 かがやくはまことマロニエの実であるか仰げば口中に明るき秋陽

       (レポート)(2011年3月)
 あんなにきらきら輝くのは本当にマロニエの実なのだろうか?たしか棘のある実だったと思うけれど。近づいて見上げると「やっぱりマロニエだ!」私の口中いっぱいに明るい秋の陽が充ち、何とも幸せな気分であることよ。ここトルコの空は光に満ちてあくまで青く明るいので、暗いシベリアから渡って来られた作者の心はどんなにかほっとして暖かな気分になられたことか、そのご様子が読者の心をも温かくする明るい作品です。(曽我)


         (意見)(2011年3月)
★「まことマロニエの実であるか」は疑問ではなく、感嘆の気分。(藤本)
★マロニエの実に心が弾んでいると同時に、聖性を感じている。(鹿取)


           (まとめ)(2011年3月) 
 日本でも公園などでマロニエの木はよく見かけるし、秋になるとトゲトゲの丸い実がぶら下がっている。もっとも、フランスのものはもっと大きくて胡桃みたいなイガで、栗のような色と形をした実が3個ほど入っている写真を見かける。トルコのマロニエの実はどんな形なのだろうか。旅の途上の心弾みが、ちょっと珍しい見上げさせている。そしてそこに異国の明るい秋の日が差し込んでくる。「口中に」と言ったところが実感を増している。(鹿取)